教員不足、沖教組調査 特支担任で穴埋め 通常学級へ配置換え 児童に動揺、トラブル増加も


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担任が代わってトラブルが増えた特別支援学級で、児童が破いてしまったプリント。かんしゃくを起こして教材を破ったり、壁を蹴ったりすることが増えた=14日、県内の小学校

 沖縄県教職員組合(沖教組)の支部による緊急調査で、通常学級担任の不在を埋めるために特別支援学級の担任が引き抜かれている実態が明らかになった。ある小学校では空席になった支援学級の担任を埋めるために、非正規雇用職員を含めて校内での配置換えが行われた。担任が急に代わったことで子どもたちに動揺が広がっているという。

 「県が発表している教員不足の数字からは分からない現場の苦しさがある。特支は少人数だからどうにかなると思っているなら大間違いだ」。この小学校の特別支援学級で担任を務めている女性は、涙目で訴える。

 校内に複数ある特支学級には、知的障害、自閉症スペクトラム障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など多様な障がいのある子どもたちが通う。子どもたちの多くは、ささいな変化でもうまく対応できないことがある。校内の人事異動から2カ月以上たち、この間、不登校に逆戻りした子や、教師に心を閉ざしてしまった子も出た。

 粗暴な言動を繰り返すようになった子も複数いる。プリントを破いたり、壁を蹴ったりすることが増えた。以前は体育や校外学習などを通常学級で受けていた子が、何度もトラブルを起こし、通常学級での活動に参加できなくなった。言動が変わった児童の保護者からも、通常学級の保護者からも「子どもの安全な環境をつくれていない」と苦情を受けるようになった。

 「全ての行動には理由がある。一番苦しいのはトラブルを起こすようになった子だ」。そう話す担任の女性の体には、かんしゃくを起こした児童に蹴られてできたあざがあった。「とにかく教員数を増やしてほしい。行政は実態把握のために、数字を確認するだけじゃなく、現場を確認してほしい」と語気を強めた。 

 沖教組の一部支部による調査では回答のあった45校中6校(小学4、中学2)で普通学級の担任不足を補うため、特支学級を統合している。 (嘉数陽)