京都大・原田准教授「基地とPFAS汚染は隣り合わせ」 行政による疫学調査を訴え 沖縄・宜野湾で報告会


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PFAS血中濃度検査の分析結果を解説する原田浩二准教授=18日、宜野湾市民会館

 人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が米軍基地周辺から高い値で出ている問題で、住民団体が独自に実施した血中濃度検査の結果に関する報告集会が18日、宜野湾市野嵩の宜野湾市民会館で開かれた。検査に関わった京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)がオンラインで結果を解説し、PFASが水道水を介して人体に蓄積されている可能性が大きいと指摘した。その上で、最新の研究を踏まえた基準の設定や水道水だけではなく土壌、食品といった曝露(ばくろ)の経路の特定、行政による長期的、広域的な疫学調査の実施を訴えた。

 報告集会は「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」が主催し、約180人が来場した。

PFAS血中濃度検査の分析結果について質問する来場者

 原田准教授はPFASの一種、PFOSとPFOAは環境残留性・生物蓄積性が高く、製造されなくなった2000年代以後も汚染が継続していると指摘。京都大が日本各地で採取・保管してきた血液などの生体試料や京都、大阪、東京などの各地で実施した水質調査の分析、米国内の軍施設での調査から「基地とPFAS汚染は隣り合わせだ」と指摘した。

 報告集会では、行政による疫学調査と法的規制、汚染源を特定するための米軍基地立ち入り調査と浄化などを求める決議も採択された。
 (安里周悟)