ミセス・グローバルアースに女性として出場「うれしい」 2人のこれまでと伝えたいこと


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大会に出場した際の澤岻麻奈さん(右)と仲村ジュリアさん(提供)

 美や環境保全へ向き合い、発信することなどを目的として10月に開催された「2022 ミセス・グローバル・アース沖縄大会」に、女性として出場したトランスジェンダーの澤岻麻奈さん(40)=宜野湾市出身=と仲村ジュリアさん(31)=名護市出身=が、それぞれ年齢別の部門でグランプリを獲得した。11月には日本大会に出場し、共にトップ7に入るなど実績を残した。

 生物学的には男性として生まれ、戸籍上は男性のままで出場した2人。女性の大会に出られたことに「今後女性として出たい人のパイオニアになれた」(仲村さん)と喜びを語る。

 大会の出場者は10代から70代までと幅広く、年齢や結婚歴、出産歴の有無に合わせて細かく部門が定められている。仲村さんは29~39歳の結婚歴、出産歴のない女性の「ルビー部門」に、澤岻さんは40歳以上の結婚歴、出産歴のない女性の「アメジスト部門」にそれぞれ出場した。

 大会関係者の勧めで出場を決めた2人。日本大会の運営規則では戸籍が女性でなければ出場できなかったが、戸籍を変えず通称でも出られるように沖縄大会の運営側が調整した。澤岻さんはほかの出場者やスタッフなどが女性として接してくれたと言い、「周りの方々が女性として自然に受け入れてくれたことがうれしかった」と語る。

 それぞれにカミングアウトに至るまでの間や、カミングアウトした後も性的マイノリティーに対する偏見などにさらされてきた。中学生の時にカミングアウトした仲村さんは「何度も死にたいと思った」と振り返るような経験もしてきた。そうした自身の歩みを踏まえて、今後は性の悩みを抱える当事者やその周囲の人に向けた発信などをしていきたい考えだ。

 26歳でカミングアウトした澤岻さんは「なんで自分がこうなのか説明がつかないけど、自分の心に素直に従った結果が今」と語る。当事者の家族や友人には「愛を持って本人に接してくれれば良い」と話し「私たちの心の内を理解することはできないと思う。でも発信することで(こういう人がいると)知ってもらうことはできる」と力強く言い切った。

 仲村さんは「トランスジェンダーやニューハーフ、性同一性障害と言っても、みんなそうなった理由や経緯は違うし、目指しているところも違う。みんな違っていいんだということも知ってもらいたい」と話した。
 (嶋岡すみれ)

<日本大会の県関係者成績>

 11月に東京で行われた日本大会の沖縄関係受賞者は次の通り。(敬称略)

 【トパーズ部門】準グランプリ=新垣奈純【ルビー部門】準グランプリ=鬼島チェリリン▽トップ7、特別賞、ミセスコンチニアリティー賞=仲村ジュリア【アメジスト部門】トップ7=平良恭子、澤岻麻奈【エメラルド部門】特別賞、ミセスコンチニアリティー賞=伊藤昌子【ガーネット部門】4位=中山裕佳