コロナ対策徹底、客足回復の兆し<22年県内年末回顧・伝統芸能、洋舞、エンタメなど>


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伝統組踊保存会による組踊「巡見官」=5月15日、浦添市の国立劇場おきなわ

 2020年の新型コロナウイルス感染症の発生から現在まで、劇場利用者の体温測定や観劇中のマスク着用をはじめとするコロナ対策を徹底し続ける、公演関係者の努力の実りを感じた1年だった。対策の結果、劇場が安全な場所だと証明することで、沖縄県民がコロナ発生当初に抱いた、劇場などの人が集まる空間への忌避感も薄れ、客足も回復の兆しが見えた。「美ら島おきなわ文化祭2022」の開催や、組踊の重要無形文化財指定50周年の節目もあり、活発に公演が行われた。

 【組踊】伝統組踊保存会が5月に、組踊「巡見官」を上演。国立劇場おきなわが3月に新作組踊「真珠道」、4月に組踊「賢母三遷の巻」、6月に組踊「花売の縁」、10月に野外舞台も用いながら玉城朝薫の組踊五番を3日間にわたり一挙上演、12月に組踊「北山敵討」を上演した。

 【琉球舞踊】1月に廣山えりか独演会。3月、金城真次独演会、阿波連本流啓扇会が阿波連京子と阿波連とも子両三代目家元襲名披露公演、玉城流翔節会が那覇市市制100周年記念公演「首里城讃歌」。4月に宮城幸子の人間国宝認定記念公演、喜屋武愛香独演会。5月、国立劇場おきなわが宮城幸子と志田房子の人間国宝認定を記念した「琉球舞踊特選会」。7月、高嶺美和子独演会、玉城靜江の會「髪技・舞技 踊る嬉しや」、島袋本流紫の会65周年記念公演。8月に宮城幸子の人間国宝認定記念ふるさと公演、又吉聖子が9月にかけて古典七踊りに挑戦する舞台「七心~ナナグクル~」を開催。9月、志田真木の独演会、横浜能楽堂企画公演「男の組踊 女の舞踊」、「新潮劇院沖縄公演『京劇』」、「蓬莱6」。9月、國吉優子独演会。10月に玉城盛義の玉城流三代目家元襲名10周年記念公演、12月に志田房子の人間国宝認定記念公演、町美佐子が独演会。

 【沖縄芝居】2月、沖縄芝居研究会が創立10周年記念公演を開き、4大歌劇を全て上演。10月に沖縄俳優協会が「史劇 首里城明け渡し」。

 【古典音楽・箏曲】2月、御座楽復元演奏研究会25周年記念公演、5月に琉球古典音楽安冨祖流絃聲会が「第1回宮里春行賞贈呈式・受賞者顕彰公演」を開催。同賞を照喜名朝一、西江喜春に贈呈。6月、伊良皆高吉独演会、池間北斗独演会。10月に上原麻美、島袋功が独演会。11月に光史流太鼓保存会が島袋光史生誕100年記念公演、田渕愛子独演会、12月に琉球古典音楽安冨祖流絃聲会創立95周年記念公演。

 【民謡】8月に由絃會が会主上江洲由孝の芸歴60周年記念の第9回発表会、10月、西浜陽子が芸歴55周年記念公演、前川本流民謡協会が設立10周年公演。12月に琉球交響楽団×普久原メロディー「千年音楽」。

 【日本舞踊】3月に藤扇流織保会(藤扇織保会主)の創立20周年記念公演

 【演劇】2月に劇団文化座特別公演「命どぅ宝」。5月、劇団ビーチロックと劇団O.Z.E、劇艶おとな団が復帰題材の作品を上演する「沖縄・復帰50年現代演劇集inなはーと」。8月、「マームとジプシー」が演劇「cocoon」上演、犬養憲子作「UPP」(大浜暢裕演出)が「劇琉王」の栄冠。9月に「島口説」、10月に「イミグレ怪談」、11月に「喜劇 人類館」、12月、栗山民也演出「凍える」。

 【バレエ】1月、日本バレエ協会沖縄支部40周年記念公演「ドン・キホーテ」全幕上演。2月、バレエ・コンテンポラリーダンスの舞踊団「ダンスシアターオキナワ」が第1回公演。6月、東京の国立能楽堂で緑間玲貴演出の「トコイリヤ RYOKI to AI vol.9」。11月、第13回琉球新報国際バレエコンクール、第12回プレバレエコンクール。中日国交正常化50周年記念公演に長崎真湖出演。

 【お笑い】1月「O―1グランプリ2022」で「ありんくりん」が3度目優勝。8月、「エッカ石油 お笑いバイアスロン2022」を「初恋クロマニヨン」が連覇。

 【総合】7月に国の重要無形文化財「組踊」保持者(総合認定)、同「琉球舞踊」保持者(同)が追加認定。県指定無形文化財「八重山古典民謡」保持者、同「八重山伝統舞踊」保持者追加認定。琉球古典芸能祭と八重山古典芸能祭が3年ぶり開催。