作家の真藤順丈さんが語った小説「宝島」に込めた思い コザを通し見えてきたことは 沖縄市で講演


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「宝島」で舞台となったコザについて語る作家の真藤順丈さん=8日、沖縄市民小劇場あしびなー

 【沖縄】コザを舞台にした小説「宝島」で直木賞を受賞した作家・真藤順丈さんが8日、沖縄市民小劇場あしびなーで講演した。市立図書館の移転開館5周年と沖縄の日本復帰50年の記念事業。真藤さんは「コザを語る-宝島の世界-」と題して、宝島の執筆を通して感じたコザや、コザから見えてきた日本について語った。

 宝島は日本復帰前の沖縄が舞台。2013年にコザで取材を始めた真藤さんは「戦後のコザ、沖縄を描くことで、日本全体の形をあぶり出せると思った」と、執筆当初の思いを明かした。とにかく街を歩き回り、目にした景色や印象に残った物をスケッチしたという。

 真藤さんは現在問題となっているPFASの水質汚染や、復帰前の「燃える井戸」問題などに触れながら、東京の多摩地域でもPFAS汚染の問題が上がっていることを紹介。「コザで起こることは必ず日本でも起きる」とした上で、「コザを舞台に小説を書いていると、現代と全部地続きにつながっていると感じる。これからもコザの小説を書いていかなければという気持ちになる」と語った。

(石井恵理菜)