前宮古島市長の有罪が確定 陸自用地めぐる収賄 期限までに上告せず


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
前宮古島市長の下地敏彦被告

 宮古島市上野野原の陸上自衛隊駐屯地の用地取得を巡る汚職事件で、国への土地売却の便宜を図った見返りに現金600万円を受け取ったとして収賄罪に問われた前宮古島市長の下地敏彦被告(77)を懲役3年、執行猶予5年、追徴金600万円とした福岡高裁那覇支部判決が20日、確定した。期限までに被告側、検察側ともに上告しなかった。

 下地被告はこれまでの公判で無罪を主張していた。控訴審で弁護側は、2016年6月に下地被告が市議会で陸自配備計画の受け入れを表明したのは政治的立場の表明であり、市の責任者として一定の処分を行う職務権限とは異なると主張。現金の受け取りは認めた上で、受け入れ表明は賄賂罪における職務に当たらず、600万円は政治献金との認識で賄賂との認識はなかったなどとし、一審判決を破棄して無罪とするよう求めていた。

 5日の二審判決は、今年2月の一審那覇地裁が受け入れ表明は市長の職務権限に属すると判示したことについて「不合理な点は見受けられない」と支持。収賄罪が成立するとして、被告側の控訴を棄却していた。

 一、二審判決によると、宮古島市長だった下地被告は、自身の陸自配備計画の受け入れ表明により、「千代田カントリークラブ(CC)」の土地を陸自駐屯地用地として国に売却できた謝礼と知りながら、18年5月、東京都内で千代田CCの元社長から現金600万円を受け取った。