那覇市の沖縄県立博物館・美術館で開催中の平良孝七展で、写真集から複写された展示パネルに「売春婦」「混血児」などのキャプションとともに、本人の顔が分かる写真が含まれていることに対し、写真家らでつくる「平良孝七展の修正を求める会」が21日、同館に「人権上の問題がある」と抗議した。同会はこれらの写真を含む複写展示を全て新たにネガなどから焼いたプリントに改めるよう求めたが、同館は展示替えはしない方針を示した。
▼写真集からの複写展示、写真と合わないキャプション…主催の沖縄県立博物館・美術館を批判
同館は展示会場の入り口に「今日では使用を控えるべき表現が一部含まれていますが、発表時の時代背景を考慮し、当時使用されていた表現を変更なく展示しています」との断り書きを19日から掲示している。大川剛美術館副館長は「第三者から指摘を受けて検討し、フォローキャプションを入れた」と話した。
同展の第1章は、沖縄革新共闘会議が編集した「沖縄 百万県民の苦悩と抵抗」(1970年)から複写したものを展示。写真自体にキャプションが付いており、そのまま展示している。
写真家らは同館への申し入れに先立ち開いた記者会見で「マイノリティーに対する人権感覚の問題だ」などと訴えた。
大川副館長は申し入れを受け「(複写展示は)復帰前夜の緊張感を来場者に感じてもらうための判断だ。展示替えはしないが、貴重な意見として厳粛に受け止める。持ち帰って検討すべきところはあると考えている」と述べた。
同展は県立博物館・美術館が復帰50年企画として11月から来年1月15日まで開催している。
(宮城隆尋)