「平和な島」改めて願う 復帰50年<沖縄この1年2022>①


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沖縄復帰50周年記念式典=5月15日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター

 2022年は沖縄が日本に復帰して50年の節目だった。戦後27年間、日本と切り離されて米施政権下に置かれた沖縄の不条理な歴史や、復帰後の歩みを振り返り、沖縄の将来を考える機会となった。復帰後も続く米軍基地の過重負担にも注目が集まった。

 復帰50年を迎えた5月15日、県と政府は「沖縄復帰50周年記念式典」を宜野湾市の沖縄コンベンションセンターと東京会場のグランドプリンスホテル新高輪で同時開催した。沖縄会場と東京会場で計1297人の招待客が出席した。

 岸田文雄首相は「沖縄の基地負担軽減に全力で取り組む」と表明。玉城デニー知事は「すべての県民が真に幸福を実感できる平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組んでほしい」と訴えた。

 同日、市民団体主催の県民大会も那覇市内で開かれ「基地のない沖縄、平和な日本、戦争のない世界をつくる」との大会宣言を採択した。

 復帰に伴う自衛隊の沖縄配備からも50年が経過した。50年の間に、陸自は第1混成団から第15旅団へと増強され、ことし閣議決定した安保関連3文書では、師団への格上げが明記された。米軍基地の負担が残ったまま、自衛隊が増強されることに、県内からは「沖縄が再び戦場になるのでは」と憂慮の声が上がる。

 50年の節目は、県民自らが沖縄の将来を考えるきっかけにもなった。県は、復帰前の琉球政府が作成した建議書を検証しながら、新たな建議書を策定。平和な島を改めて希求した。

 復帰の年に生まれた「復帰っ子」が集まり、戦争体験を伝える映画の制作や貧困対策に取り組んだ。NHKは復帰をテーマにした連続テレビ小説「ちむどんどん」を放映した。主演を県出身の黒島結菜さんが務め、注目を集めた。
 (稲福政俊)


 2022年も残りわずかとなった。この1年の主なニュースを振り返る。