【記者解説】沖縄、肝疾患・糖尿病の割合高く 後退止まらぬ平均寿命ランキング(表あり)


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 厚労省が発表した2020年都道府県別生命表で、沖縄は男女ともに平均寿命の順位が低下した背景には、県民一人一人が生活習慣病の対策や早期治療に向き合うなど、健康に対するリスク管理が不足していることが背景にある。

 今回の結果はあくまでも寿命や余命の数値だ。健康で長生きするというQOL(生活の質)という視点から見ると、死因別死亡確率で治療が長引く肝疾患や糖尿病の割合が高く、健康寿命にも影を落としている。

 40歳以上が受ける特定健診の18年度の受診率は全国平均より低い一方、受診段階で健康状態に問題を抱えたり、血圧を下げる薬の服用や心疾患の治療を受けたりしている割合は全国平均より高い。

 医療関係者によると、生活習慣病を放置し、何らかの合併症により重症化してはじめて医療機関を受診する人も少なくないという。

 こうした県民の意識や受療行動は、新型コロナウイルスの流行以前から県内の医療負荷を高めているとも指摘されている。

 県は今後、20~64歳の働き盛り世代の健康改善に取り組むことを強調したが、30年以上にわたり抜本的な対策は見えていない。ただ、医療技術は日々向上し、行政も支援を続けている。手詰まり感を打破するためには、県民一人一人の意識改革が必要だ。 
 (嘉陽拓也)