那覇にも地下司令部、自衛隊への訓練協力で自治体に交付金… 防衛予算を分析


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防衛省(資料写真)

 【東京】政府が23日に決定した2023年度予算案で、防衛省は陸上自衛隊那覇駐屯地を拠点とする第15旅団の師団化計画に関し、隊庁舎の調査設計経費として約2億円を盛り込んだ。那覇駐屯地司令部の地下化に向けた基本設計・調査費用に約1億円を予算化。沖縄市池原の沖縄訓練場内に計画する補給拠点の整備について、施設配置の基本検討費として約2億円を計上した。

 政府が16日に閣議決定した新たな安全保障関連3文書で掲げた、南西地域の防衛強化の方針を反映している。今後、自衛隊や米軍の訓練が多様化し拡大することに備え、協力した自治体に交付する「訓練交付金(仮称)」を創設する。既存制度で交付を受けられない自治体を対象に、約3億円を確保する計画。離島地域で避難施設としても活用される体育館の補助割合引き上げも予定している。

 県内の施設整備では、自衛隊那覇病院の建て替えについても基本検討のため約1億2千万円を計上。南西地域の警戒監視体制強化に向け、移動式警戒管制レーダー(TPS102A)の取得で約28億円を計上した。

 南西地域に部隊を素早く輸送することを目的とした陸海空の輸送力強化を中心に、機動展開能力強化の費用として約2696億円を盛り込んだ。小型船舶2隻の調達で108億円、C2輸送機2機の調達で597億円を予算化。大規模港湾がない島しょに臨時の桟橋をつなぐ「揚陸支援システム」の研究費として約15億円を計上した。

 相手領域に届いて敵基地攻撃能力(反撃能力)にもつながる長射程ミサイルの開発・調達など、スタンド・オフ防衛能力の整備に向けては約1兆4207億円を計上。その中で県内配備が想定される12式地対艦誘導弾(ミサイル)の射程を延ばした「能力向上型」について、量産を始めるため約939億円を盛り込み、開発費用も継続して約338億円を付けた。

(明真南斗)