沖縄の一括交付金、過去最低の759億円 国直轄の「推進費」は5億増の85億円 2023年度内閣府沖縄予算


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 【東京】内閣府の2023年度沖縄関係予算は、22年度当初から5億円減の2679億円となった。2年連続で3千億円台を割り込み、沖縄振興一括交付金は制度創設以来最低の759億円となった。一方で、一括交付金のソフト交付金を補完する沖縄振興特定事業推進費は、前年度から5億円増の85億円で過去最高額となった。政府が施政方針に掲げる「強い沖縄経済」の関連予算に84億円、「子どもの貧困」関連予算は17億円とした。予算編成の要点や主な事業を紹介する。

 沖縄振興一括交付金は、22年度当初予算から3億9400万円減の758億5500万円で過去最低額となった。内閣府は22年度当初予算と同額を概算要求していたが減額となった。

 内訳は、ソフト交付金が390億4900万円、ハード交付金が368億600万円。ハード交付金は前年と同額に据え置かれ、ソフト交付金が前年から3億9400万円減額された。

 一方、ソフト交付金を補完する交付金として、国が県内の各市町村に直接交付する国直轄の「沖縄振興特定事業推進費」については5億円増の85億円を計上した。

 19年度に創設された同推進費は30億円を皮切りに、20年度に55億円、21年度に85億円と増額が続いた。22年度当初予算は80億円と制度創設以来初めて減額された。今夏の概算要求でも75億円の減額要求だったが、予算案が固まる過程で増額に転じた。

 内閣府担当者は、一括交付金の減額理由について「執行率、県の財政状況などを考慮している」とした上で、一括交付金が10年ごとに策定される県の振興計画に沿って実施される点も指摘。22年度が第6次沖縄振興計画の初年度に当たる点を踏まえ、本年度予算を基準とする考えを示した。

 推進費の増額理由については「年度途中でも機動的に事業を推進するための財源だ」と説明。概算要求を上回る額となった点について、継続事業の予算が想定以上になった点を挙げた。「市町村長から『強い沖縄経済』で頑張っていきたいという強い声があった」とし、自治体からの要請への配慮もあったと示唆した。