完成は10年後の壮大なプロジェクト 漁港の護岸をカラフルな壁面に タコ、サンゴ…小学生が色塗り 豊見城市


社会
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護岸に描かれたタコにペンキを塗る座安小の児童=19日、豊見城市の与根漁港

 【豊見城】豊見城市の与根漁港を囲む護岸の一部が19日、殺風景な灰色からカラフルな壁面に変身した。タコ、サンゴなど海の生き物が描かれた壁に座安小学校6年生約90人がペンキで色付けした。名付けて「壁画大漁プロジェクト」。糸満漁業協同組合・与根支部の大城和也さん(44)が「漁港に人を呼び込もう」と発案した。護岸は残り数百メートルあり今後、年に1回、同小の6年生が色塗りし、10年後に完成する壮大な計画だ。児童や漁師からは「次が見たい」と早くも完成を待ちわびる声が上がっている。大城さんはコロナ禍で子どもたちが外に出る機会が減っていることや、地域を盛り上げたいとの思いから、市や学校に掛け合い実現に至った。

 この日、児童が色塗りした護岸は幅20メートル、高さ1メートル10センチ。大城さんの構想を受け、児童は事前に画用紙に海の生き物を書いた。その原画を基に、大城さんの知人で、市座安のデザイン事務所「デコール」の瑞慶山成人(なると)さんと南風亜矢子さん夫婦がパソコンでイメージ図を作成した。「見る人がワクワクするように」生き物の配置や大小にこだわり、護岸に下書きを描いた。

 児童は予定図を見ながら、筆を手に取り、下書きに色を塗った。「ヤドカリやろうぜ」「色塗り楽しいな」などと、明るい声が漁港をにぎわせた。

チンアナゴやシイラ(マンビカー)などが描かれた護岸

 普段とは異なる活気に、のぞきに来た“海人”の大城大樹さん(34)と大城貴章(たかあき)さん(34)は「自分たちが見ても魚の種類が分かる。完成度が高い」と画力に舌を巻き、「漁港が明るくなる」とうれしそうに目を細めた。

 マンビカーを黄色で塗った児童は「10年計画の1号でうれしい。22歳になったら絶対見に来る」と目を輝かせた。タコをオレンジで色付けした別の児童は「うまくできた。みんなと塗ることができて楽しかった」と話した。

 来年以降も6年生が20メートルずつ塗り、10年後に200メートルの色鮮やかな護岸が漁船を出迎える。

 今回児童が描いた原画は年明け1月21~28日の間、漁港内の与根地区観光交流施設「ゆにま~る」で展示され、無料で見ることができる。
 (照屋大哲)