小学校の移転改築、2度の入札不調…糸満市議会が調査特別委を設置、原因を究明へ


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糸満市役所

 【糸満】資材高騰などの影響で2度の入札不調となった糸満市立高嶺小学校の移転改築事業を巡り、糸満市議会は原因究明のため調査特別委員会の設置を決めた。23日の定例会で同決議案を全会一致で可決した。入札不調に陥った原因や今後の計画に関する質疑が相次ぎ、今議会は何度も紛糾した。

 高嶺小の新校舎は高嶺中学校の敷地に建設され、計画から4年遅れの2028年度から小中一貫校として開校する予定。市教委は校舎建て替え中の24年4月から27年10月ごろまで高嶺小の運動場に仮設校舎を設置する。

 周辺では旧南部病院跡地で土地利用を計画中で、市は老朽化した社会福祉施設を集約し新たに市民ふれあいセンターゾーンの設置を構想する。その一環で新校舎の完成後、仮設校舎を移設して社会福祉団体などの施設として活用したい考え。

 今定例会で仮設校舎費など、計3億7300万円を含む一般会計補正予算案が提案され、賛成多数で可決した。23日の閉会後に議員説明会が開かれ、市教委と市は想定される出費を概算で説明した。一定期間リース料を支払った後、建物が市に譲渡される「リースバック」の場合、仮設校舎費と移設時の解体費など計約5億1750万円かかる見込み。

 一方、仮設校舎を借りる場合は約2億2千万円だが、新たに社会福祉団体などの施設(仮設校舎と同規模と想定)の購入費で約3億3497万円かかる見込み。全体では約3747万円の支出増とみている。

 野党系市議らは県有地の旧南部病院跡地を巡る県と市の土地交渉は継続中で、現時点で仮設校舎の活用団体も未定であることから、不確定な事項に多額の予算をかける市の計画性を問題視する。高嶺小の移転改築事業では、2度の入札不調に伴う計画見直しで既に基本設計と実施設計費の計約1億5千万円の損失が出ている。
 (比嘉璃子)