世界のキングへフルスイング 賞金王・比嘉一貴の飽くなき向上心「ゴールとは思っていない」


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昨季4勝を挙げ、県勢男子2人目の日本ツアー賞金王に輝いた比嘉一貴。海外ツアー挑戦も見据え、世界の頂を狙う

 賞金王の偉業もまだ一歩にすぎない―。男子ゴルフプロ転向5年で、昨季ツアー4勝を挙げ27歳で頂点に駆け上がったうるま市出身の比嘉一貴(本部高―東北福祉大出)は「機会があれば積極的に海外ツアーに挑戦したい。厳しい世界だけど、できないとは思っていない」と固い決意で次なる目標を見つめる。

 文・謝花史哲、写真・小川昌宏

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ゴルフ賞金王 飽くなき向上心

 小さな島から羽ばたき、持ち前の実直さで瞬く間に日本が誇る選手へと成長。飽くなき向上心で次は世界の舞台で輝きを放つ。

 ツアー選手の中でも最も小柄な身長158センチの体格ながら、精度の高いアイアンショットを武器につかみ取った栄冠だった。「言い訳できないよう準備してきた」。素質と努力の積み重ねで体格差をものともせず頂点へ駆け上がった。ただキングの称号を手にしても満足感はない。「ゴールと思ってはいなかった。取れたからナンバーワンとも思えない。もっとうまくなりたい」と探究心は湧くばかりだ。

 プロ転向後の2017年にはツアー出場権を得る予選会で失格する挫折を味わったが、アジアツアー参戦で優勝するなど活路を見いだし逆境をプラスに変えた。国内下部ツアーを制し、19年にRIZAP・KBCオーガスタで日本ツアー初勝利を飾った。コースレコードを塗り替える圧巻のプレーだった。21年に通算2勝目を挙げ、昨季はレコードタイのスコアで頂点に立ったダンロップ・フェニックスでシーズン4勝目を記録し、着実に力を伸ばした。

 有言実行で小さくてもできることを証明したが、真価を問われるのはこれからだ。無限の可能性を秘めた沖縄が生んだヒーローが、戦いの舞台を広げる新たなシーズンへ走り出す。

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ひが・かずき

 うるま市出身、兼原小―具志川中―本部高―東北福祉大出。158センチ70キロ。1995年4月23日生まれの27歳。10歳で競技を始め、高校時に宮里優作ら宮里3きょうだいの父・優さんに師事。2012年から6年間、ナショナルチームにも選抜された。15年のユニバーシアードでは団体・個人のいずれも金メダルを獲得した。17年11月にプロに転向。18、19年に下部ツアーで1勝ずつ挙げる。19年9月に日本ツアー初勝利を飾り、21年にも1勝した。昨季は4勝を挙げ賞金王に輝いた。