「沖縄ビーガール」目指せパリ五輪! 新種目「ブレイキン」15歳と17歳、2人のバトルに注目


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Chura(比嘉美空)

 2024年パリ五輪大会の正式種目に追加決定したブレイキン(ブレイクダンス)で、沖縄から日本代表を目指す2人のBGIRL(ビーガール、女性ダンサー)がいる。Chura(比嘉美空)とRiko(津波古梨心)だ。全日本選手権大会などで上位の成績を残し、強化指定選手に選ばれた。沖縄から五輪新種目に挑む2人の「バトル」に注目だ。

文・謝花史哲、写真・小川昌宏

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Chura(比嘉美空)/17歳 夢へ勝負の1年

 「五輪に出場できるよう目の前のことをしっかり頑張っていきたい」。17歳のChura(比嘉美空)=前原高2年=は志を高く真っすぐに目標を見つめる。リズムに乗ってアクロバティックな技を繰り出し競い合うと同時に交流を深める楽しげで華やかな舞台。そのきらびやかな世界に憧れ、ダンスを始めた幼少期すぐに「世界一になりたい」と夢を抱いてきた。大きなチャンスを前に「勝負の1年にしたい」と気を吐く。

 小学1年にはヒップホップダンスに興味を覚え、技の難易度や、できた時の達成感から5年の頃からはブレイキン一本に。みるみる上達し、6年になって初めて参加した台湾での国際大会で準優勝を果たした。「すごいダンサーがいっぱいだった」と大きな刺激を受け、世界への意識を高めるきっかけになった。

 強みは技の切れ味や速さ。逆さになって手のひらで回転を続ける大技を得意とし、昨年1月の全日本選手権ではユース部門で4位に食い込んだ。今年2月の全日本選手権でさらに上位を狙いにいく決意だ。「カルチャーだったダンスがスポーツになる。想像がつかなかったけど興味は高まった」と意欲につなげて飛躍を目指す。

Riko(津波古梨心)

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Riko(津波古梨心)/15歳 勢いで壁ぶち破れ

 昨年10月の世界選手権で4位に輝いた15歳のRiko(津波古梨心)=読谷高1年。3位決定戦で日本人対決に敗れた。優勝は別の国内選手だった。まだ力の差は感じるが、堂々の世界上位入賞に「努力次第でいけるかもしれない」と大きな手応えをつかんだ。代表枠を競う国内の壁は厚いが勝ち抜けば一気にメダル候補に踊り出る。

 小学2年の終わり頃にブレイキンを始めた。最初は「習い事」の感覚だったが「踊りにルールがなく一人一人踊り方が違う。個性が踊りに出る」と、その魅力に取りつかれ、夢中になった。負けず嫌いな性格と持ち前の高い身体能力で難しい技に次々と挑戦できるようになった。中学2年の時に全日本選手権ユース部門で準優勝に輝くと、翌年には優勝を飾り、一気に頂点に上り詰めた。

 日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス本部(JDSF)による強化選手にも2021年度から選抜。強みはスピードと体の柔軟性を生かした弾力のある動きで、アクロバティックな回転技など独創的な踊りができることだ。課題は体力と、技と技をつなぐ変化に富んだ構成力という。
 

「五輪出場は上の2人を越えるだけだ」。若さと勢い、伸びしろを武器に、この1年突き進む決意だ。


 五輪新種目・ブレイキン

 音楽に乗せて体を使い回ったり、跳ねたり、アクロバティックな動きを取り入れたダンスで、ブレイクダンスとも言われる。ヒップホップと呼ばれる文化の一つ。このダンスを踊っている男性を「ビーボーイ」、女性を「ビーガール」と呼ぶ。立ってステップを刻み、しゃがんだ状態で地面に手をついて素早く動きステップを踏む。背中や肩、頭などを使う回転技、激しい動きから難しい姿勢で止まる技などを組み合わせて演技を構成。踊りを交互に見せ合う「バトル」という方法で競う。2024年のパリ五輪にダンススポーツ競技ブレイキン種目として採用され、「スポーツ」として認可を受けた。