1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
日本「復帰」した1972年12月27日の琉球新報1面トップは、「自衛官登録停止問題、自治省通達伝える/早期解決を要望/知事、平良市長と会談/微妙〝話し合いによる指導〟」との見出しで、那覇市による自衛官住民登録停止問題で自治省が屋良朝苗知事に登録拒否にけん制する通達をしてきたことを受けて、屋良朝苗知事が平良良松那覇市長と話し合った様子を伝えている。
会談は非公開で行われ、記事では知事の対応について「申し入れただけで同問題に対する県の態度表明や市への介入は一切しなかった」と紹介、行政指導ではなく「今後も話し合いの方向で指導していく」と県の担当部長の言葉を伝えている。
隣の関連記事では「登録停止は貫く/平良市長会見/配備強行した国に責任」とあくまで登録拒否は貫く姿勢を平良市長が示した記事も掲げている。さらに政府側の姿勢として「あくまで行政指導で解決/登録停止で自治相報告」と自治省の書簡の全文とともに掲載している。
住民生活に関する情報では「バス運賃、大幅値上げへ/メドは来年3月/協会が検討進める」とバス料金の値上げ情報を掲載している。
さらに国際情勢では「米、北爆を再開/B52、ハノイ、ハイフォン爆撃」とベトナム戦争の情勢のほか、「トルーマン元大統領死去」の記事も掲載している。
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5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。