新種のトマト病原ウイルス、沖縄県内で確認 生育阻害、県が防除呼び掛け


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感染したトマトの葉の様子(県病害虫防除技術センター提供)

 沖縄県病害虫防除技術センターは21日、県内でトマトの生育を阻害する病原ウイルスの新種が確認されたとして、従来と異なる防除対策が必要になることが懸念される場合などに発表する「特殊報」を出した。ウイルスはベゴモウイルス属の一種「LELCV」で、11月に近畿大が発表した研究で明らかになった。同センターによると、感染したトマトを食べても人体に影響はない。

 ベゴモウイルスは昆虫のタバココナジラミが媒介して感染するとされ、葉が黄色くなったり、巻いて縮まったりする「トマト黄化葉巻病」を引き起こす。症状が進行すると、開花しても実が付かなくなる場合が多い。

 県内では2006年12月に、別のベゴモウイルスの一種である「TYLCV」が初確認された。近畿大の発表を受けて県が11月に県全域を調べたところ、豊見城市と名護市で「LELCV」の発生を確認した。すべて従来の「TYLCV」との複合感染だった。

 近畿大の研究によると、LELCVは台湾で15年に初確認された。従来のウイルスより病原性が強く、抵抗力のある品種のトマトでも被害の広がりが懸念されると指摘している。県病害虫防除技術センターは防除対策として、トマト黄化葉巻病の特徴がみられる株の抜き取りや、媒介するタバココナジラミの防除などを呼び掛けている。
 (當山幸都)