復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉12月28日「景勝地、企業が押える/目立つ投機買い」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年12月28日の琉球新報1面トップは、「景勝地、企業が押える/目立つ投機買い/総合事務局が調査/北部は6.4%も」との見出しで、沖縄総合事務局の調査で沖縄県内(本島周辺離島やコザ、読谷、嘉手納、北谷、与那国は除外)の企業の土地買い占め状況を掲載している。

 買い占めの状況としては①売買されたと予想される土地②買われたとうわさのある土地③賃貸借されていると予想される土地の面積の合計が8005万1000平方メートルあり、全調査対象地区の4.29%を占めているという。記事では総合事務局の分析として「①投機買いがほとんど②海岸線を中心とした景勝地に集中③石垣島などのように干ばつによる農地の荒廃化のための売却④地丘は全般に大幅に高騰している」と記している。

 県内労組の沖縄県労働組合協議会の幹事会で春闘基本方針を協議した様子は「2万円以上目指す/県労協、来春闘ベアで方針」との見出しで報じている。記事では、復帰後の物価急騰が大きく生活に襲いかかっていると位置づけ「海洋博の開催も重視し、海洋博工事によって既存中小企業からの労働者の離脱、離農者がふえるおそれがあるとして、第一次産業破壊、中小企業の倒産を引きおこす可能性もあると指摘、国、県が対応策を確立しない場合は、海洋博を拒否するとの強い姿勢を打ち出している」と記している。

 県議会の動きとしては「教育委員5氏に〝同意〟/野党欠席のまま閉会」との見出しで、自民党出席拒否のままで教育委員の人事案件が可決されたことを伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。