ジェンダー視点で考える 東さよみ(助産婦)<未来へいっぽにほ>


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東さよみ(助産婦)

 2022年、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位でした。先進国の中では最低レベルです。私がジェンダー観にこだわる一つの理由は、世の中の暴力の多くが、ジェンダーにまつわる思い込みや偏見によって力の不均衡を生むと考えるからです。

 例えば昔話。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に…。役割が逆でも全く問題ありません。自動車、トラック、新幹線、飛行機、ドライバーのイメージは? 乗り物が大きくなると、男性が運転しているような思い込みはありませんか? 男性保育士、女性裁判官、女優、イクメン、サラリーマン、ママさん〇〇、性別を表す言葉はいくつもあります。その性別表記、必要でしょうか?

 性別役割や職業への思い込みは、少数派への排除、または過大評価として現れます。そこから偏見が生まれ、こうあるべきと固定化されます。男だから、女だからという思い込みの果てに暴力が生まれると私は思うのです。誰もが生きやすく平等な社会は、人が本当に多様であることに気付き、それを認め合うことではないでしょうか。

 ジェンダーにまつわる暴力は、性暴力だけではありません。DV、パワハラ、セクハラ、モラハラ、マタハラ…。暴力を受けていい人は一人もいません。

 加害者も被害者も傍観者も生まない社会を目指して、ジェンダー視点で暴力を考えてみましょう。日々の暮らしの中、ドラマや歌やメディアの中にも刷り込まれたジェンダーバイアスがあります。そこから解放されたとき、私たちは自己肯定感がぐっとアップするように思うのです。