教員不足が深刻化…子どもも教員も疲弊する現状が浮き彫りに<22年県内教育回顧>


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公立中学校の休日の運動部活動地域移行を検討する会議の出席者ら=8月、那覇市の県立図書館ホール

 2022年、新型コロナウイルス感染防止のため、観客制限などはまだ残るものの、小学校の運動会や中高の文化祭、部活動にはコロナ前の活気が戻り始めた。世界音楽コンクールでは西原高校マーチングバンド部が世界一に輝くなど、子どもたちの活躍が目立った。

 文部科学省の調査では21年度の県内小中高校生の不登校者が20年度から791人増え、5286人だった。子どもへの寄り添い方に課題が見つかった。しかし子どもの身近にいる教員の不足が深刻化し、子どもも教員も疲弊している現状が浮き彫りになった。

 文科省の調査によると、21年度の不登校者数は全国の国公私立小中学校で過去最多の24万4940人だった。県内では、いじめにより重い被害が疑われる「重大事態」の発生件数が前回調査より11件増え、25件あったことも分かった。

 子どもの異変に敏感に気付ける教師が子どもの支援の鍵を握るが、その教師が学校現場に足りていないことも大きな問題となった。県内では6月1日時点で60人の教員が不足していた。10月には96人まで不足数が増えた。養護教諭がいない学校、特別支援学級を統合して学級担任の欠員を埋める学校もあり、教員からは子ども同士のトラブルが増えたと窮状を訴える声が上がった。

 教職員の精神疾患による休職者は県内公立学校で21年度199人に上り、過去10年間で最多だった。教師不足の要因には、業務過多による過酷な労働環境が大きな要因の一つとされている。

 教員不足問題は県議会でも多く取り上げられた。県教育委員会は解決に向けて、残業の大きな要因の一つとされている部活動の地域移行に向けた議論を本格的に始めた。人材確保に向け、教員免許取得者のうち教職未経験者、離職者らを対象とした説明会を計画するなど課題解決を目指す。(嘉数陽)