「合理的な根拠ない」沖縄観光業界トップは猛反発 突然の「香港便停止」沖縄観光に衝撃 中国コロナ拡大 業界「撤回を」「あまりに急」


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 政府が香港の航空会社に対し、那覇、札幌、福岡の3空港と香港との間で運航している直行便について、30日以降の取りやめを要請したことで、航空会社は対応に追われた。新型コロナウイルス禍で2020年3月に那覇空港を発着する国際便の就航がゼロになってから徐々に運航再開が進む中での突然の対応に、観光関係者からは撤回を求める声が上がった。

 香港と那覇を結ぶ路線は現在、香港航空と香港エクスプレスの2社が、合計週14便を運航している。香港航空日本支社長の陳源(ちんげん)氏は、「あまりにも急なので、すでに予約をしている客からの問い合わせが鳴りやまない」と苦悩を訴えた。社員総出で対応しているという。

 香港からの旅行者は、30日以降の便がなくなってしまうことを恐れ、その前の便に予約が集まり満席になっている便もあるという。陳氏は「予定変更した際の料金は誰の負担になるのかなども問題になってくるだろう」と心配した。

 別の関係者は「(対応が)決まれば国に従うしかない。せっかく就航を再開したのに残念だ」と肩を落とした。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「中国大陸の感染爆発が香港に波及しているなら理解もできるが、現段階で香港からの渡航を止める明確なデータや合理的な根拠が見えず、撤回を求めたい。観光立県を目指す沖縄として、納得することはできない」と強く反対した。

 香港の旅券を持つ人はビザ免除措置が認められ、中国本土の人には認められていないことから「例えば香港在住者のみ、ワクチン接種などを条件に渡航を認めるという対応もできるのではないか」と話した。「那覇は安定しない路線と思われてしまい、これまでに築いた信頼関係を損なってしまう」と危惧した。(與那覇智早、沖田有吾)