【一問一答】比嘉一貴、賞金王「安堵も満足感はない」 来季へ切り替え、欧州ツアーに「本格参戦」


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今年の活躍を振り返る比嘉一貴=27日、名護市の喜瀬CC(喜瀬守昭撮影)

 男子プロゴルフの日本ツアーで4勝を挙げて初めて賞金王に輝いた、うるま市出身の比嘉一貴(27)=本部高―東北福祉大出=が27日、名護市のかねひで喜瀬CCで県内各メディアの取材に応じ、賞金王戴冠の心境や来季への意気込みなどを語った。取材後、琉球新報社は県出身選手2人目の快挙をたたえ、比嘉に「琉球新報スポーツ栄誉賞」の授与式を開催し、賞状と記念品を贈呈した。

 最終獲得賞金は1億8159万円余り。158センチの小柄な体格ながら正確なアイアンショットを武器に戦った。今季は平均ストローク70.123で全体2位、パーセーブ率1位と安定感が光った。

 本紙の取材に比嘉は「うれしさもあったけど、安堵(あんど)感が大きかった。ただ満足感はない」と振り返った。来年1月12日に米ハワイで開幕するソニーオープンに出場すると言い「今となっては終わったこと。その準備を進めている」と既に気持ちを切り替えていた。目標は「米マスターズに出ること」と断言し、そのための世界ランキングを狙って来季はDPワールドツアー(欧州ツアー)に「本格的に参戦する」と明かした。


 

 比嘉一貴の一問一答は次の通り。

 ―シーズンを終えて改めて賞金王の実感は。

 「うれしさもあったけど、安堵(あんど)感が大きかった。いいシーズンだったと思う。ただ賞金王を取ったからと満足感はなく、消化不良感がある。目標だったけど、もっとできるというのはあったから。今となってはもう終わったこと。来年すぐに試合が始まる。その準備に切り替えている。とは言え、取材対応はありがたいことに多くて賞金王は影響が大きいと感じている」

 ―賞金王までの道のりを振り返って。

 「学生の時は、どこでゴルフしたいかを大事にした。県外強豪校から打診はあったが、沖縄の高校で全国優勝したい思いだった。県外の高校と比べたら、練習環境の面など恵まれない部分はあったかもしれないが、その環境で何ができるかを考えたり自主性を持ったりすることができた」

 「大学は打って変わって日本一の練習環境。そこで自分の中で目標決めて4年間できたのは、高校の経験が生きたと思う。プロ転向1年目にQT(ツアー出場権を決めるクォリファイングトーナメント)で失敗した。ゴルフ人生で初めての失敗だったけど、そこからはい上がったからこそ、ここまでできたと思う。スタートこそつまずいたが、できることを一つ一つ積み上げられた」

 ―4勝を挙げて消化不良というのは。

 「僕の性格の問題だと思うが、どうしても課題や悪いところを振り返ることが多い。反省の繰り返し。初めて海外メジャーに出て、ヨーロッパも1カ月参戦できたシーズンだった。全然駄目だなという思いと、やっていける自信も生まれた。その中での消化不良は、それが伸びしろだとも思う」

 ―次の目標は。

 「海外で試したい気持ちはもちろんある。自分のゴルフに限界を感じていない。どこまでできるかは楽しみの一つだ。目の前の目標はマスターズに出ること。そのためにも来年はヨーロッパツアー(DPワールドツアー)に1年間、本格的に参戦する。初めてのコースばかり。不安要素はあるが、そこに対応できるようになれば一皮も二皮もむけると思っている」

 ―さらなる飛躍へ、期待を膨らませる県民にどういう姿を見せたいか。

 「日本の若手も海外選手のような大きいボールを打って迫力のあるプレーをする選手が増えているが、自分のスタイルは地味だけど、ショートゲームだったりマネジメントだったりスコアのために組み立てていくもの。華がないと言われたそこまでだが、海外の大きい選手を、この小さい体でどんどん倒していくという姿を見せられるのは限られた人しかできないと思う。そういう存在になりたい。宮里藍さんのように活躍してしっかり頑張っている姿を届けられるようにしたい」