復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉12月31日「沖縄にも象がいた/宮古で歯の化石」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年12月31日の琉球新報1面トップは、「沖縄にも象がいた/200万年-1000万年前/宮古で歯の化石を発見/古生物調査で確認/『大陸地続き』裏付けへ」との見出しで、2年前に宮古島北部の島尻海岸で住民が拾っていた石を、島を調査していた地質学の専門家らが「古代象の歯の化石」と確認したと紹介している。

 沖縄の開発に関して、来県した稲嶺一郎沖縄開発庁政務次官の会見の様子を伝える記事では「〝超党派で開発推進〟/稲嶺開発庁政務次官/就任後初の帰郷」と伝えている。記事中では稲嶺政務次官の言葉として「今後の沖縄開発は、イデオロギーを越え、全県民と国が一体となって進めなければならない」と紹介している。そのほか「沖縄総合事務局の機能強化については批判は批判として受け入れ、十分に機能が果たせるよう努力していきたい。今後、多額の予算で県の消化能力が問題となろうが、完全消化をめざして県と総合事務局の話し合いが密になるよう私としても積極的に働きかけたい」との言葉も掲載している。

 世界情勢ではベトナム戦争に関連して「米大統領、北爆停止を命令/パリ会談/1月8日再開へ」との見出しで、ニクソン米大統領が北爆停止を命令したとの発表を伝えている。一方で「B52、北爆を続行」とサイゴン発共同電で米軍の北ベトナム空爆が続いているとの記事を掲載している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。