北海道から沖縄のふるさとへ届けたい「夢」 名護市出身の25歳が同級生と資金募る 雪に触れた園児の頃の感動忘れられず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
北海道の大地から沖縄に雪を贈るプロジェクトを開始した上地隼さん(中央)と大城幸太朗さん(左)、濱川栄一さん(上地さん提供)

 【北海道】豪雪地帯では気持ちがなえることもある雪が、沖縄では「夢のかけら、夢の世界」にもなる。北海道に住んで7年。名護市出身の上地隼さん(25)らが「一緒に届けませんか」と呼びかけ、沖縄に雪を贈るプロジェクトを始めた。第1回は昨年2月に実現し、今年は規模を拡大して取り組む。上地さんが保育園児の頃に初めて触れて感激した思い。今度は自らが郷里への恩返しとして子どもたちへ届ける。

 上地さんは名護市の大北小から名護中、名護高を経て北海道酪農学園大学を卒業した。今は石狩市で削蹄師として勤務する。北海道を目指したのも、県内で保育園児の頃に雪に触れたのがきっかけだ。「あの時の記憶が残っていて、あれ以来、雪を見ていないなあと」。雪国の生活に当初は戸惑いもあったものの、四季の移ろいが明確な大地に根を張る。「マイナス20度でも今はいける。そして人生の視野も広がった」と言う。

 学生生活を経て社会人となり、3年がたった。今は「北海道から沖縄を応援し盛り上げる。そのためにも北海道で自分の目標を達成したい」と語る。北海道で人生の一里塚を築こうと奮闘する。

 昨年2月のプロジェクトは上地さんが送料などを工面した。名護市内の4カ所の保育園の約300人の園児へ発泡スチロール30個分(約240キロ)を届けた。今年のプロジェクトは名護市の保育園児約2千人へ雪を届ける考えで、第1回の7倍の量になるという。名護市の園児たちが参加できるイベントを開催する計画だ。

 イベントの拡大に伴い、北海道に住む同級生の大城幸太朗さんと濱川栄一さんの2人も協力に加わった。さらに広く資金を募るためクラウドファンディングがスタートした。上地さんは「夢を与えられる存在でありたい」と北海道で羽ばたく機会を導いてくれた思い出を胸にプロジェクト成功へ意気込む。クラウドファンディングは「沖縄に雪を贈るプロジェクト」で検索。
(斎藤学)