松野博一官房長官に聞く 沖縄の基地負担軽減、政府の「平和創造拠点」とは?<23年新春インタビュー>


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松野博一官房長官

 日本復帰50年の節目を経て、第6次沖縄振興計画がスタートし、経済や社会の発展に向けて沖縄は新たな時代へと歩みを進めた。一方、7割の米軍専用施設が集中する過重な基地負担を抱える中、防衛力強化に向けて政府は県内の自衛隊配備を強化する方針を示している。松野博一官房長官に2023年の展望などを聞いた。

 ―沖縄の基地負担軽減への取り組みは。

 「これまで北部訓練場の過半の返還や嘉手納以南の土地の一部返還などを実現してきている。引き続き日米間で合意されている嘉手納以南の土地の返還や米海兵隊のグアム移転などについて可能な限り早い実現に全力で取り組んでいく考えだ」

 ―台湾有事では先島諸島が危険にさらされる。

 「沖縄県、先島5市町村での有事の際の対応に万全を期すため、協力して検討を行っている。3月に予定する住民避難のための図上訓練の実施に向けて必要な協議を行っている。国民保護法上、住民の輸送手段の確保は県、住民の避難誘導は市町村が主に担うとされている。国としても運送事業者に働きかけるなど積極的支援を行っていく」

 ―政府が目指す「平和創造拠点」とは。

 「沖縄は東アジアの中心に位置し、国際的な交流拠点としての大きな可能性を秘めている。こうした優位性を生かし、平和創造拠点としての沖縄の発展を目指す上で重要なのは、国際的な人材育成や人材交流の推進だ」

 ―普天間飛行場の「負担軽減推進会議」は。

 「政府、沖縄県、宜野湾市が移設を完了するまでの同飛行場の危険性除去について認識を共有し得る環境をつくることが大切だ。三者それぞれの考えを幅広く議論するため、作業部会を1月から2月に開催するために調整を進めている。推進会議については、作業部会で実務的な議論を行い、これを踏まえて検討することになる」
 (安里洋輔)