物価高騰対策、那覇軍港への米軍機着陸への対応は? 知念覚那覇市長に聞く<23年新春インタビュー>


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 【那覇】知念覚(さとる)那覇市長はこのほど、琉球新報の新春インタビューに応じた。2023年の抱負について「物価高騰から市民生活を守る」と述べ、経済活性化に意欲を示した。23年度予算について「公約に関するものだけでも49事業」を盛り込む予定で、保育士の負担軽減やヤングケアラーの支援強化、MICE受け入れ推進などに取り組む考えを示した。

インタビューに答える知念覚那覇市長=那覇市役所(小川昌宏撮影)

 ―22年はどんな年だったか。

 「とにかく忙しかった。選挙に出るか出ないかなど、決断が頻繁にあった。人生で一番大変な1年だった」

 ―公約で既に着手・実行できたものと、23年度予算案に盛り込む予定の事業は。

 「短期重点事項として、コロナ禍・物価高の緊急支援に取り組んだ。水道基本料金の3カ月間免除や1~3月の給食費無償化、子育て支援交付金の対象者拡大などを実施している。23年度は県や国の対策を注視し、さまざまな行動を起こしていきたい。23年度予算には公約に関するものだけでも49事業を盛り込む予定だ。例えば、保育士の負担軽減やヤングケアラーの支援体制強化、医療的ケア児の保育支援、MICE受け入れ推進の事業などを予算化する」

 ―那覇軍港の移設と跡地利用計画については。

 「国、県、浦添市と早期移設に向けた取り組みを進める。跡地利用計画は地権者の意向をくみながら、国有地や県有地も多いという優位性を踏まえて進める。どういう方々が軍港跡地に価値を見い出しているのか、23年度で企業進出の可能性を調査したい。最も付加価値が生まれるのは何か、みんなで探りながら合意形成に持っていく。(返還までに相応の期間を要するため)『県都那覇市の振興に関する協議会』で求める振興策は軍港とは切り離して考えている」

 ―那覇軍港での米軍機離着陸への対応は。

 「市街地なので離着陸の常態化はあり得ないと考えている。ただ悩ましいのは反対しても(米軍は)やる。日米地位協定の現実の枠内で首長としてすべき一番重要なことは、飛行ルートやいつ来るのか、大阪航空局の管制下で行われているのかという情報を少なくとも得られるようにしないといけない。その作業をしている」

 ―市立病院建て替えの予算確保について官房長官に要望したが、その後の調整は。

 「手法については今言えないが、ある程度道筋は立った。(国の)スピード感もあった」

 ―23年の抱負は。

 「物価高騰から市民生活をどう守るかが大事だ。経済を活性化させれば市民生活も戻ってくる。3月にオープンする新たな第一牧志公設市場にも付加価値を付けたい。沖縄文化を観光にも生かしていきたい。(うさぎ年生まれの年男なので)ウサギのように飛び跳ねる年にしたい」 (聞き手 照屋大哲)