感動をありがとう 八重商高出身で元ロッテ選手の大嶺さんが石垣島で引退試合 高校時代のライバル校OBと対戦


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引退試合でリラックスした表情で投球する大嶺祐太さん

 【石垣】八重山商工高校(石垣市)を沖縄県内離島勢初となる甲子園出場に導き、プロ野球の千葉ロッテマリーンズなどで投手として活躍した大嶺祐太さん(34)の引退試合が12月30日、石垣市の市中央運動公園野球場であった。八重山商工OBチームと、高校時代にしのぎを削ったライバルの浦添商業高校(浦添市)OBチームが対戦した。石垣島に感動を与えてきた大嶺さんの最後の勇姿に、訪れたファンたちからは温かな拍手が送られた。

 引退試合は大嶺さんの活躍をねぎらおうと、高校時代のチームメートたちが企画した。対戦相手の浦添商業は、2006年夏の沖縄大会準決勝の相手だ。

 大嶺さんは引退試合に、背番号1のロッテのユニホーム姿で臨んだ。名前がコールされると、球場に訪れたファンたちからは拍手と歓声が送られた。最後のマウンドではピンチを招き手こずる場面もあったが、それでも笑顔で試合を楽しんでいた。

 メンバーと共にベンチに入った八重山商工時代の監督、伊志嶺吉盛さん(69)は「16年間もプロで活躍できたのはチームにかわいがられたからだと思う。彼の人柄だ」と教え子の姿に目を細めていた。

 浦添商業OBで当時の中軸打者だった仲宗根玄樹さん(34)は、高校最後の打席を大嶺さんに三振で抑えられ終えた。16年ぶりの対戦では鋭い打球を飛ばしリベンジ。「とても楽しい試合だった。(大嶺さんは)常に意識し合う相手だった」とたたえた。

 試合前には社会人野球、沖縄電力で現役を続ける八重山商工時代のチームメート、金城長靖さん(34)との真剣勝負もあった。結果は安打となったが、大嶺さんの本気の投球にスタンドはどよめきに包まれた。

 大嶺さんの甲子園での活躍でファンになったという会社員の岩井剛さん(55)は、神奈川県から引退試合に駆けつけた。金城さんとの対戦を見て「やっぱりボールに威力がある。もう少し見ていたい」と引退を惜しんだ。

 試合後、両チームから花束を贈られた大嶺さんは「今後の人生を頑張っていきたい。ありがとうございました」とあいさつ。チームメートらに胴上げをされ、故郷で現役生活に別れを告げた。

(西銘研志郎)

 

引退試合後、チームメートらと記念撮影する大嶺祐太さん(前列右から3人目)=12月30日午後、石垣市中央運動公園野球場