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米国と日本、双方の視点から日米関係や歴史的問題などを学ぶ、米スタンフォード大のオンラインプログラム「スタンフォードe―Japan」に、県内から与勝高3年の宮里朝大さん(18)が参加した。全国の高校生と約半年間にわたって英語の講義を受講。沖縄とハワイの基地問題を多角的な視点で比較し、提言をまとめた英語の論文を書き上げた。
プログラムは日本の高校生を対象に年2回開催する。宮里さんは与勝高ALTのアンドリュー・ヤマモトさんの紹介で内容を知り「沖縄に住む者として日米関係や基地問題の学びを深めたい」と昨年2月開始のコースに応募した。
選考を経て参加した全国の高校生28人は、2~7月に米国の人権・差別問題や教育、第2次世界大戦の歴史など、毎週異なるテーマを学んだ。週初めに課題が出され、土曜にスタンフォード大の教授や各専門家の講義を受ける。講義後は生徒同士のディスカッションで理解を深めた。
最終課題は英語の論文。宮里さんは、米軍基地問題の解決に向け、沖縄とハワイの比較をテーマにした。沖縄同様リゾート地であり、米軍基地も存在するハワイの状況を探った。アンドリューさんの協力もあり、ハワイ在住者23人に基地の必要性や基地問題について聞くアンケートを実施。結果は宮里さんの予想に反し、22人が米軍基地の必要性を感じていた。基地問題に関する質問には、ほとんどの回答者がオアフ島レッドヒル地区にある米軍の地下燃料貯蔵施設の燃料漏れによる水道水汚染を挙げた。
一方、沖縄とハワイでは基地問題と住民との物理的な距離も異なった。調査によると、ハワイの都市生活者は基地問題をニュースで聞く程度である一方、沖縄では都市部でも地方でも米軍機や基地を目にする。「基地問題を目にする機会の違いが、基地に対する人々の価値観の違いにもつながっている」と推察。加えて「ハワイの基地問題が自国の問題であるのに対し、沖縄の基地問題は日・米・沖縄の三者間の問題で、さまざまな取り決めが解決を遅らせている」と指摘した。
問題解決・軽減に向け、(1)米軍に透明性を持たせ県民の意見を米国政府に伝えるシステム構築(2)住民の居住地域と基地の分離(3)アジアや沖縄が置かれる状況を踏まえ県民が基地の必要性を理解すること―の三つを提言した。
走り高跳びで県、九州予選を勝ち抜き、昨年8月のインターハイに出場した宮里さん。大会の準備をしつつ、時間を見つけて課題や論文をまとめた。「物事をいろいろな方向から見ることの大切さを学んだ。将来は海外に出るなど、価値観の違いの中に身を置き成長したい」と前を見据えている。
(吉田早希)