米、沖縄に離島即応部隊を創設 海兵隊を改編、数年内に 日米2プラス2で確認へ 新たな負担増も


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
沖縄県内の米軍施設を離島に見立てて実施された訓練で、米軍機が離着陸する地点の安全を確保する海兵隊員=2022年2月、沖縄本島北部の北部訓練場

 バイデン米政権は沖縄県に駐留する海兵隊を数年以内に改編し、離島防衛に備えて即応性のある「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設する方針を固めた。南シナ海や東シナ海で進出を強める中国への抑止力を高める狙い。日米の外務・防衛担当閣僚がワシントンで11日に開く安全保障協議委員会(2プラス2)で確認する見通しだ。日米関係筋が10日までに明らかにした。

 日米は宇宙空間での攻撃に関し、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象とする方向で調整に入った。

 沖縄では、MLR創設が新たな基地負担につながるとして反発が強まる可能性がある。MLRが沖縄に配備されても、約1万人の海兵隊を沖縄に残す海外移転計画に変更はないとみられる。

 日本政府も沖縄の防衛、警備を担当する陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げし、ミサイル部隊の配備や弾薬の備蓄を増強する方針。日米共同で対処力を強化する狙いだが、沖縄を巡る軍事的緊張が高まるとの懸念も強まりそうだ。

 松野博一官房長官は10日の記者会見で、米海兵隊の改編には言及を避けつつ「抑止力、対処力を一層強化するため、意見交換している」と強調した。

 海兵隊は昨年3月、ハワイの部隊を改編し、MLR創設を発表。今後、沖縄に駐留する二つの海兵連隊をMLRに改編した上で、一つを沖縄に、一つをグアムに置く方向で調整している。

 MLRの部隊規模は1800~2千人程度で、小規模のチームに分かれて敵のミサイル攻撃をかわしながら、離島に機動的に展開する能力が特徴。敵の射程圏内にある複数の離島で攻撃拠点を確保し、味方の艦艇を支援する作戦を実行する。

中国が台湾に侵攻した場合、侵攻を食い止める役割も想定される。
(共同通信)