ミサイル配備「住民説明会を」 与那国町議員や石垣市長、沖縄防衛局に求める


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
与那国駐屯地への誘導弾部隊配備などについて、与那国町議を対象に非公開で開かれる沖縄防衛局の説明会=10日、与那国町構造改善センター

 【与那国・石垣】沖縄防衛局の小野功雄局長らは10日、与那国町と石垣市を相次いで訪れ、南西諸島の自衛隊配備強化を巡る政府の方針などについて首長や議員らに説明した。議員らを対象とした与那国町の説明会で、小野局長は与那国駐屯地に電子戦部隊や地対空誘導弾(ミサイル)部隊を配備するなど、駐屯地の機能を拡張する方針を示した。これに対し、議員からはミサイル部隊配備に懸念の声が上がり、住民を対象とした説明会を開くよう求めた。石垣市で面談した中山義隆市長も石垣駐屯地の開設前に、広く市民を対象とした説明の機会を持つよう求めた。

 与那国町で開かれた説明会は非公開で開かれ、糸数健一町長と町議8人が参加した。出席者によると、小野局長は「わが国を巡る安全保障環境は厳しい。領土、領海、領空を守り、抑止力を高めていく必要がある。時勢に応じて、南西諸島の防衛体制を強化する必要がある」などと述べ、地対空誘導弾部隊配備の必要性を強調した。

中山義隆石垣市長(右)に自衛隊配備計画について説明する小野功雄沖縄防衛局長(中央)=10日、石垣市役所(八重山毎日新聞社提供)

 その上で、駐屯地の東側で18万平方メートルの土地を取得し、ミサイル部隊配備に伴う隊庁舎や火薬庫、倉庫、通信施設などを整備する方針を示した。県外からの部隊移駐に伴い、与那国駐屯地の所属隊員は従来の約170人から約210人に増加すると説明した。

 出席者によると、自衛隊の配備に理解を示す議員からも「自衛隊賛成派でも不安がある。住民に説明をしてほしい」などと、全住民を対象とした説明会を求める声が相次いだ。島では過去に陸自沿岸監視部隊の配備を巡って町民の賛否が分かれたこともあり、ミサイル部隊配備を巡って再び島が二分されることに懸念も上がった。住民説明会の開催に関し、防衛局側は「町と連携して検討したい」などと述べた。

 説明会後、取材に応じた崎元俊男議長は「今日の説明だけでは不安は解消されなかった。説明もないまま、ミサイル部隊の受け入れは難しいと思う。安保関連3文書ができてから急に動き出した話だ」と語った。

 中山市長によると、小野局長は石垣駐屯地での計画について「石垣島に配備されるのは地対艦誘導弾、地対空誘導弾の部隊で、相手の基地を攻撃できるようなミサイル配備等の話は、今のところ全く予定はない」と述べ、反撃能力(敵基地攻撃能力)を担う中長距離射程のミサイル部隊配備はしないとの考えを示した。中山氏は春に予定される駐屯地開設前に、住民説明会を開くよう求めた。
 (梅田正覚、池田哲平)