防衛省は12日、鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地の本体工事を始めた。着工の前提となる環境影響評価(アセスメント)の評価書も同日公告。滑走路や駐機施設、火薬庫などを整備し、現在、硫黄島(東京都)で行われている米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を移転する。工期は4年を見込むが、防衛省は訓練に最低限必要な施設を先行して完成させる予定だ。
日米両政府は、海洋進出を強める中国を念頭に、南西地域の防衛力強化を進めている。馬毛島基地を訓練や補給の機能を備えた重要拠点の一つと位置付け、活用に向けた検討を加速させる。
日米両政府は、海洋進出を強める中国を念頭に、南西地域の防衛力強化を進めている。馬毛島基地を訓練や補給の機能を備えた重要拠点の一つと位置付け、活用に向けた検討を加速させる。
日米両政府は、12日に発表した外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書で、島での訓練移転計画と基地建設の進展を歓迎。松野博一官房長官は同日の記者会見で「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえ、早期に整備し運用を開始する」と述べた。島は種子島の西約12キロに位置する無人島。2011年の2プラス2の共同文書で、島へのFCLP移転の検討が明記された。
防衛省幹部によると、陸自水陸機動団の着上陸や海自艦との連携強化など、平時から有事に至るさまざまな事態を想定した訓練の実施に加え、燃料や弾薬の備蓄方法についても省内で馬毛島基地活用の検討が進む。
一方、西之表市などでは12日、反対派の住民が集会を開催。21年の市長選で計画反対を掲げて再選された八板俊輔市長は22年2月に防衛省との対話姿勢に転じて以降、賛否の明言を避けている。
(共同通信)