組踊の新保持者ら、晴れやかに舞台 新春大公演 沖縄


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「執心鐘入」より、中城若松を見つめる宿の女(右・石川直也)=8日

 国指定重要無形文化財「組踊」保持者でつくる伝統組踊保存会(山城暁会長)は7、8の両日、浦添市の国立劇場おきなわで「2023年新春組踊大公演」(同劇場運営財団共催)を開催した。7日に「花売の縁」「護佐丸敵討」、8日に「万歳敵討」「執心鐘入」を演じた。昨年認定された新保持者や、中堅、若手の伝承者らが晴れやかに舞台を務めた。

 新保持者の金城陽一は「花売の縁」で薪取を演じ、穏やかな声色の唱えで、乙樽(大湾三瑠)らを森川の子(玉城盛義)の下へと導いた。鶴松役の樋口清美礼(すみれ)さん(10)も新春にふさわしい、みずみずしい唱えを響かせた。

薪取を演じる金城陽一=7日、浦添市の国立劇場おきなわ

 「執心鐘入」には、新保持者の立方より宇座仁一と石川直也が出演した。宇座は、伝承者時代からしばしば演じている座主役で、堂に入った芝居を見せた。美声を生かした男役の印象が強い石川だが、本公演では「宿の女」を演じ、女役でも存在感を示した。

 「花売の縁」での島袋功による「立雲節」や、「護佐丸敵討」での仲宗根盛次らによる「伊野波節」など、歌三線の新保持者による歌声も観客を魅了した。

 幕開けの舞踊「かぎやで風」は新保持者が務めた。

 山城会長は「2日間の公演が無事終わり、新保持者の心意気が感じられる舞台となって良かった。次は、3月に開催予定の組踊の重要無形文化財指定50周年記念公演の成功に努める。コロナの影響で2年間、対面ではなくDVDで実施せざるを得なかった伝承者養成事業の実技研修を、ことしは復活させたい」と話した。
 (藤村謙吾)