プロコーチが教える!2023年を最高の1年にする目標設定のポイント<沖縄お仕事相談デスク>


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

今回のお悩み

34歳、医療・福祉、Aさん

日本には「一年の計は元旦にあり」という言葉がある通り

毎年、目標設定をするのですが…お恥ずかしい話、達成したことがないだけでなく、 目標設定したことを忘れてしまうことがほとんどです。

でも今年は変化する1年にしたいので、目標設定の方法を教えていただきたいです!どうすれば良いでしょうか。

 

今回の回答者は…

「働きがいをデザインする」をテーマに県内外の中小企業向けに研修や人事制度構築、

全国展開中のコーチングスクール沖縄校を運営している(株)ワダチラボ代表取締役でキャリアコンサルタント

福島知加さんです。

明けましておめでとうございます。

今回は新年ならではの「目標」についてのご質問ですね。

この記事を読んでいる方の中にも「その気持ち分かる〜!」と、首を大きく縦に振っている方も多いのではないでしょうか。

ではどうすれば目標を忘れることなく達成することができるのか?

 

結論から言いますと、目標設定だけで目標を忘れずに達成することは、難しいです。

実際にアメリカの統計学研究所STATISTICS BRAINの研究によると、45%の人が年始に目標を掲げるものの、実際に掲げた目標を達成できる人は、わずか8%という結果だったそうです。

ただ、3つのポイントを意識して目標設定を行い、行動を継続していけば、忘れずに達成できる確率が格段に上がります。

少し話が脱線して恐縮ですが、私自身もこの方法をやって毎年忘れずに達成することができていますし、コーチングのクライアント様(受講者)や、企業向けの人事評価制度でも応用した結果、達成する確率が3倍に上がりました。

 

さて、その3つのポイントはこちらです。

ポイント1、目標をイメージできるぐらい明確にしワクワク感を喚起する

ポイント2、現状と目標のギャップから毎月の行動目標を立てる

ポイント3、毎日もしくは毎月振り返り、適宜改善する

ポイント1、目標をイメージできるぐらい明確にしワクワク感を喚起する

例えば、あなたがパーソナルトレーナーだったとして、ダイエットを成功させたいというお客様が初回のカウンセリングに来たら、どんな質問をしますか。1分ほど考えてみてください。

「何キロ痩せたい?」「痩せたい部分は?」「いつまでに痩せたい?」「痩せたら誰に会いたい?」「どんな方法で痩せたい?」「ダイエットの目的?」「痩せたら何がしたい?」などなど…たくさんの質問が思いつくと思います。

 

■目標設定の具体化

そういった質問を自分にもしてみてください。ここで役に立つのがビジネスでよく使われる「5W1H」です。

「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」

資格取得を例にすると、

「What(何を)」何の資格を取りたいの? 「簿記2級」

「When(いつ)」いつまでに取りたいの? 「2023年8月31日」

「Where(どこで)」どこで受験するの? 「沖縄」

「Who(誰が)」誰の為に頑張りたい?「自分と会社の為に」

「Why(なぜ)」なぜこの資格を取りたいの? 「できる仕事を増やして、周りから頼られたい」

「How(どのように)」どんな勉強方法を試したい? 「問題集をひたすら解きたい」

 

ここでミソなのが、もう一回「What(何を)」を聞いて、達成した後に何をしたいのか、どうなっていたいのか以下のように聞くと、よりワクワク感が喚起されます。

「2023年8月31日までに簿記2級の資格を取得し、できる仕事が増えて周りから頼られた後、何がしたい?」

 

恐らくさまざまな答えが返ってきて、イメージがより明確になっていきます。

そして、ここで初めて達成できたイメージや達成した後のイメージが湧いてきます。

この質問は、達成後のワクワク感やモチベーションアップにも繋がりますし、できるだけ具体的にイメージさせることで「私は達成できる」と脳にインプットさせることができ、達成に向けた行動を後押ししてくれます。

この方法はスポーツのメンタルトレーニングでもよく活用されています。

 

■目標設定のポイント「SMARTS」

さらに目標設定が終えた後の点検として、以下の「SMARTS」を活用すると、達成により近づきます。

※「SMARTS」は目標設定の重要ポイントをまとめたフレームワークで、それぞれの頭文字を並べています。

  • Specific…具体的である

  • Measurable…測定可能である

  • Assignable…行動目標である

  • Realistic…現実的である

  • Time-related…期限が明確である

  • Self-determined…自分で決めた目標である

例えば、上記の資格目標であれば…

「2023年8月31日までに簿記2級の資格を取得し、できる仕事が増えて周りから頼られる」

  • Specific…具体的である △ 何の資格を何のために取得するのかは明確だが、さらに「できる仕事が増えている状態」や「まわりから頼られている状態はどういう状態かを具体化するとgood

  • Measurable…測定可能である ○  何の資格を取得するのかが明確

  • Assignable…行動目標である ○ 自力で達成できる目標である

  • Realistic…現実的で一貫性がある ○ 今後の人生の何の為にやるのかが明確

  • Time-related…期限が明確である ○ 期限のある目標である

  • Self-determined…自分で決めた目標である ○ 人から言われた目標ではなく自分で決めた目標

このように点検した上で、抜けや漏れがあったらさらに深掘りしてみてください。

例)「できる仕事が増えて周りから頼られる状態とは?」→経理の処理を1人でできて、経理に関する質問を上司や同僚から聞かれても何でも答えられる状態のこと。

 

ポイント2、現状を数値化し目標のギャップから毎月の行動目標を立てる

目標を立てたら、今度はどんな行動をして達成するのか道筋を立てていきます。

山登りで言うと登る山が決まって、何を準備するのか、どのような行動をするのかを考えるというフェーズです。

例えば、目標を山登りで捉えると分かりやすいのですが、伊江島タッチューに登る、富士山に登る、エベレストに登る…

今の自分の状態で達成できそうな山もあれば、頑張らないと達成できない山もあると思います。

「今の自分が必死に頑張れば達成できる」ぐらいの難易度のものに設定することをオススメします。

 

■現状の数値化

ここで設定した目標に対して、今の現状を数値化していきます。

質問例:「目標を達成した状態が100%だとすると現状は何%か」

このような質問をすることで、現在の立ち位置を確認することができ、目標と現状を客観的に捉えることができます。

ダイエットで「毎日体重計に乗ってください!」と言われるのもこの原理です。

数値で見せられると「あと何キロ痩せたら達成できる」「1週間に比べてこんなに太ってしまったな」とギャップを常に確認することができます。

また目標とのギャップで湧き上がる感情(「焦り」「不安」「怒り」など)も上手に活用していくと行動の加速につながります。

 

■行動目標を立てる

目標と現状のギャップを明確にしたら、そのギャップを埋めるための行動目標を立てます。

行動目標もポイント1で解説した「5W1H」を活用していきます。これらに追加して「細分化」「優先順位」を決めることもオススメです。

流れは下記のように進めていくといいでしょう。

行動目標を細分化し広げる質問をしてみましょう。

例)

質問:「30%から3ヶ月(4月1日)までに何%上げたい?」

答え:「+20%(計50%)」

質問:「その為にどんな行動をしていきますか。5つ考えてみてください」

答え:「問題集を1日4ページ進める、経理の先輩に経理処理を教えてもらう、上司に簿記検定を受けることを報告する、簿記検定について調べる、会社の経理業務を把握する」

次に、行動目標の優先順位を決める質問を考えてみましょう。

例)

質問:「この5つの行動の優先順位はどうしますか」

答え:「簿記検定について調べる→問題集を購入し勉強を始める→会社の経理業務を把握する→経理の先輩に経理処理を教えてもらう→上司に簿記検定を受けることを報告する」

5W1Hで考えてみましょう。

「この行動はいつ、どのくらい、どのように、どこで、誰とやりますか」

(全ての5W1Hが埋まらなくてもOK)

例)

質問:「この行動はいつ、どのくらい、どのように、どこで、誰とやりますか」

答え:「明日の朝8時、会社の隣にあるカフェでスマホから簿記検定のHPで受験の日程、費用、難易度、オススメ参考書、目安勉強時間を確認して問題集を購入する」

目標と現状のギャップを一気に埋めるための行動を考えるのもいいですが、全てを網羅するのは、目標設定に慣れているコーチでも至難の業。

1カ月や3カ月といった期間を区切ったり「現状からプラス10%アップするための行動」など、達成率の細分化をしてあげると、より具体的な行動目標が言語化しやすくなります。

優先順位を決めて、5W1Hを活用して明文化までやると、毎日、毎月何をすべきかが見えてきます。

達成したい目標と行動目標がそろったところで必ずやってほしいことが、自分が毎日触れるものや目につく場所に貼っておくこと!

(パソコンやスマホのデスクトップ、手帳の表紙、自宅の部屋などなど…)

また達成したい目標と行動目標を誰かに宣言することもオススメです。

出来るだけ多くの人を巻き込んで行動すると怠け心の克服にも繋がっていきます!

 

ちなみに私は、達成したい目標はTwitterで宣言していて、行動目標はGoogleカレンダーに登録し、時間を確保しています。

達成目標は忘れることはあまりありませんが、行動目標はよく忘れちゃうので、優秀なGoogleカレンダー君に頼っていますw

 

ポイント3、毎月振り返り、適宜改善する

 

ここまで設定すれば、設定した行動を繰り返し、毎月もしくは3カ月に1回ぐらいのペースで<現状の数値化>をして振り返り<行動目標を立てる>を繰り返し行ってみてください。

振り返ってみて、できていなかったとしても大丈夫です!

できたこと、できなかったことを振り返り、失敗とご自身が感じられたとしてもこれは次のステップの「学び」だと捉えて行動、改善を繰り返してみてください!!!

 

最後に…

本日ご紹介した方法は、コーチングのフレームワークで活用されている一部分です。

もし、ご自身でやってみても上手くできない!誰かに話を聞いてもらいたい!などありましたら、全国にコーチとクライアントをマッチングするプラットフォームも多数あるので、そちらを活用してみるのもオススメです。

2023年も皆様にとって最高の1年になりますこと心より願っています!そしてご相談者のAさんが変化を遂げる1年になること全力で応援しています!!!!

◆執筆者プロフィール

福島知加(ふくしま・ちか)(株)ワダチラボ代表取締役

営業、人事、キャリアコーチの経験を経て独立。 人材支援歴12年。

企業や自治体の人材育成・定着支援、大学生の就活〜求職者支援を実施しこれまで2万人以上の支援に携わる。

2021年10月より育休取得者向けのオンラインスクール「育休スイッチ」を開校。

趣味はアイドルを応援すること、泡盛を嗜むこと。2児のママ。