【深掘り】沖縄でナゼできない?在留カードの「即日」発行 外国人労働者に高い壁 成田から「遠回り」地の利生かせず


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羽田空港などの主要空港では在留カードの即日発行が可能=羽田空港(提供)

 新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴い、各業種で深刻な人手不足が発生している。対応策の一つとして技能実習生を含めた外国人労働者に注目が集まる。ただ、外国人が中長期在留する際に必要となる在留カードの即日発行は成田などの主要空港でしか対応しておらず、沖縄県内企業からは那覇空港での即日発行を求める声が多く上がる。

県外7空港限定
 

 在留カードは、3カ月以上日本に滞在する外国人に携帯が義務付けられる。現在、入国時に発行できるのは成田、羽田、中部、関西、新千歳、広島、福岡の7空港に限られている。専用のプリンターでカードが印刷され、入国手続きと同時に交付される。

 那覇空港など対象外の空港から入国した場合、後日住居へと郵送される。出入国在留管理庁(入管)本庁から県内に届くまでに10日~2週間程度かかるという。

 入管那覇空港出張所にはカードを印刷するプリンターがないため、即日発行ができない。入管本庁の担当者によると、在留カードのコピー機の費用は60カ月のリースで1台当たり160万円程度という。担当者は「費用対効果を考慮し、プリンター導入の必要性を検討していく」と話した。

 住居に郵送された後も、不在票が読めない場合も多く、受け入れ企業の担当者と一緒に郵便局に取りに行くなど双方の負担となる。そのため、受け入れる県内企業は、カードを即日発行できる県外空港を経由して入国させるなどの対応をしている。旅行社の担当者は「例えばベトナムから受け入れる場合は台湾経由の方が安く早いが、成田を経由して入ることがほとんどだ」と不便さを訴えた。

成田から遠回り
 

 宮古島で外国人従業員約100人を雇用しているホテルでは、成田から那覇を経由し宮古島市に着くまでに、1人当たり片道で約10万円の交通費・荷物運搬料を負担している。担当者は、那覇空港で即日発行ができるようになれば「入国ルートの選択肢が増え、交通費負担の軽減につながる」と話した。

 県内ホテル大手かりゆしの平良朝敬会長は「沖縄観光には絶対的に人材が必要だ。外国人労働者は非常に大きな武器になる」と話した。コロナの影響で多くの外国人労働者が自国に帰ってしまったことから「早めに(外国人労働者を)受け入れる体制を整えるべきだ」と訴えた。

(與那覇智早)