狙われる美しい「体色」 石垣島生息の日本最大のヤスデ、実は「新種」だった! ヤエヤママルヤスデ 中国や台湾の種との違い明らかに 沖縄


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八重山諸島の固有種であることが分かった「ヤエヤママルヤスデ」(島野智之・法政大教授提供)

 沖縄県石垣島と小浜島、西表島に生息する多足類で、日本最大のヤスデ「ヤエヤママルヤスデ」が八重山諸島固有の新種であることが分かった。法政大自然科学センターの島野智之(さとし)教授(動物分類学)らチームが12日、日本動物分類学会英文誌「Species Diversity(スピーシーズ・ダイバーシティ)」電子版に論文を発表した。

 学名は「Spirobolus akamma(スピロボルス・アカンマ)」。ヤスデの漢字表記が「馬陸」であること、体色が赤と黒であることから、八重山諸島で愛される民謡「赤馬(あかんま)節」にちなんで名付けられた。

島野智之・法政大教授

 ヤエヤママルヤスデは体の長さが75~92ミリ、胴の太さが約7・5ミリ。生息数が著しく減ったために2006年、種が不確かなまま絶滅危惧種として環境省のレッドリストに掲載された。

 この状況に対して、レッドリスト検討会委員も務める島野教授と京都大大学院理学研究科の大学院生・加藤大河さん、中野隆文准教授、元レッドリスト検討会委員の高野光男さんが遺伝子、形態を分析。結果、遺伝子の配列からマルヤスデ属であることが確実となったほか、前後の脚などの形態から中国、台湾の固有種と異なっていることが明らかになった。

 島野教授は生息数減少のほか、美しい体色から捕獲・販売されている現状を指摘し「適正な保全を考える上で、希少な固有種であることを明らかにすることが不可欠だった」と意義を強調した。その上で「沖縄はまだまだ新種が見つかる、懐が深い自然がある。希少な固有種が生息する生態系を守っていってほしい」と述べた。

(安里周悟)