石垣島マラソンで男子川内が大会新 女子東江は初優勝


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トップでゴールする川内優輝=15日、石垣市中央運動公園陸上競技場(大城直也撮影)

 第20回石垣島マラソン(主催・石垣市、市教育委員会、市体育協会、共催・琉球新報社)が15日、市中央運動公園を発着点に行われ、各種目に計3252人が出場した。フルマラソン男子は招待選手で初出場の川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)が2時間18分5秒の大会新記録で優勝を決めた。同女子は東江那津(BTRC沖縄・西原町)が3時間18分54秒で初優勝を飾った。大会はフルと21キロ、10キロの3コースで競われた。完走者は合計で3140人だった。

川内 作戦通り大会新

 10月に行われるパリ五輪の日本代表選手選考レース、MGCへの出場権を獲得している川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)が大会新記録の圧巻の走りで初優勝を果たした。「2時間20分は切りたいと思っていたので、目標も達成できたので90点はあげられるかな」と満足そうだった。

 前半6~9キロにかけての上り坂がきついことを下見で確認していた。そこまでの5キロを速いペースで積極的に攻めて、25キロ過ぎの新石垣空港あたりで勝負とプランを立てた。川内の世界レベルの速さに誰もついていけず、スタート直後から独走状態となった。

 その後は自分自身と石垣島の景色と対話しながらレースを楽しんだ。時折降る雨も、暑さの苦手な川内は「恵みの雨」と力に変えた。空港を過ぎると足に疲労がたまってきたが、予想通りの追い風と沿道の応援に背中を押され、コースを駆け抜けた。

 石垣島マラソンには第16回大会で弟の鴻輝さん、第18回大会で妻の侑子さんが優勝し、出場を楽しみにしていた。

 一方、昨年生まれた長男の渉夢さんの様子を見ている侑子さんから「石垣に行ってずるい」と言われ、「いい結果を残さないと怒られると思って走っていた」と笑いながらレースを振り返る。「次は子どもと妻と一緒に来たい」と2度目の出場へ意欲を示した。
 (屋嘉部長将)

東江 天候味方ペース維持

ガッツポーズでゴールする女子トップの東江那津=15日、石垣市中央運動公園陸上競技場(大城直也撮影)

 4年ぶりのフルマラソン参加となった東江那津(BTRC沖縄)。風が強く吹き付ける中でも「ゆっくりあせらず」とペースを崩すことなく、石垣島を駆け抜け、初めての頂点に立った。

 アップダウンが激しくタフなレースだと聞いていた東江は、30キロまでは無理をせず1キロ5分を目安とした。3~4番手でレースを展開し、26キロ過ぎに先頭に追いつき、並走が続いた。

 思ったよりも涼しかった天候も味方し、ペースは5分を切り続け、30キロ手前でトップに立つと「これは行くしかない」と力走。35キロ過ぎに足がつり、ペースを落としながらも「止まらず一歩一歩」と持ちこたえ、ゴールテープを切った。

 20歳から4年間、県外の実業団に所属し記録を追い続け、沖縄に戻ってきてからはNAHAマラソンでも優勝した。子育ても落ち着き、マラソンの練習もしていた。コロナ禍で大会が中止になったことから、マスターズ陸上の記録を狙い、トラックでの練習を重ねている。スピード練習がメインで長い距離は走ってもハーフまで。完走できるか不安もあったが「いいタイムで帰ってこられた。100点満点」と声を弾ませる。

 今後はマスターズ大会で県記録を狙うことに主眼を置くが、「マラソンもハーフも上位で走りたい」と長距離界での活躍も誓った。
 (屋嘉部長将)