「文化行政の専門家育成を期待」 那覇市長らが芸術の未来を議論 なはーとダイアローグ


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那覇市の文化芸術について議論する(右から)山城知佳子さん、小林純子さん、知念覚市長、林立騎さん=12月17日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと

 【那覇】「那覇文化芸術劇場なはーと」と市民が対話する事業「なはーとダイアローグ」の第2回シンポジウム「『那覇の文化芸術』、これからどうする?」が12月17日、那覇市の同劇場で催された。知念覚市長、小林純子県立芸大教授、アーティストで東京芸大准教授の山城知佳子さんが登壇し、文化芸術の発展や社会にどう生かすかなどについて議論した。市文化協会会長の崎山律子さんもビデオメッセージを寄せた。

 山城さんは「アーティスト活動だけで生活するのは難しく、キャリアを積む前に諦める人もいる。きらりと光る若手が(展覧会などに)チャレンジできる場があればいい」と話した。知念市長は「前向きに考えたい」と応じた。小林教授は「なはーとは文化芸術の中核施設として重要な役割がある」と指摘し「那覇市にしかできないことをやってほしい。文化行政の専門家を育ててほしい」と期待した。

 なはーとの運営手法について、知念市長は「不採算ジャンルも含め文化を守るという命題があるので今は直営にしている。見極めた上で次の方向性を決める」と説明した。その上で「今の沖縄は『指定管理を受ける能力がある団体が複数あり競争してより良いものをつくる』という環境にない」と慎重姿勢を示した。直営にする上で重要なのは「いかに専門家を公務員として雇い、育てるシステムを確保するかだ」と述べ、「(運営手法を見極める期間が)あと数年あるので、決断するときに決断したい」とした。

 司会を務めた、なはーとの林立騎企画制作グループ長は「世帯年収によって子どもの体験格差がある。無料ワークショップなど、経済格差が文化格差につながらないような活動もしていきたい」と話した。

 22日午後2時から同劇場で第3回シンポジウムが開かれる。若手アーティスト10人が意見交換をする。定員50人、参加無料、要申し込み。なはーと総合受付や電話098(861)7810から申し込みできる。16日休館。(伊佐尚記)