住民を米軍から守った「ボンベ鐘」を移設 現在は綱引きなど地域行事で活躍「なくてはならない存在」 西原・小波津


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ボンベ鐘の移設作業をした(左から)小波津勝弘さん、砂川守之丞さん、徳村政時さん、與那嶺良二さん、金城司さん=西原町小波津

 【西原】西原町小波津の通称三本ガジュマルの所(綱引き場横)にあったボンベ鐘がこのほど、住民5人の協力を得て移動して再設置された。小波津美和自治会長(49)は「老朽化で撤去の話も出たが、もともとあったものがなくなると寂しいと地域の皆さんの思いが強く、5人の方のおかげで移設できた」と感謝した。

 設置作業をした與那嶺良二さん(65)は「徳村政時さんが作った3メートルの支柱を、パワーショベルで1.5メートル埋め込んで、鐘を引っかけてつるした。さび止めも塗り実質の作業時間は2時間くらい。これからは綱引きの時の始まりの合図に使える」と笑った。

 小波津区の住民(91)によると戦後、米軍が西原に駐留していた頃、米兵が集落内に侵入し女性を暴行する事件があった。地域の人たちは自衛策として、米兵が集落に侵入した時には、ボンベの鐘を鳴らして警戒したという。ボンベは米軍兵舎近くのごみ捨て場から持ってきて設置した。米軍撤退後は各行事の案内や火事などの緊急時に鳴らされていた。同住民は「現在は小波津区最大の行事である綱引きの際に鳴らされ、なくてはならない存在だ」と教えてくれた。
 (小波津昭子通信員)