「静かな空」取り戻す、4度目の闘い 原告3万5000人超「当たり前の生活を」 第4次嘉手納爆音訴訟初弁論 那覇地裁沖縄支部 


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第4次嘉手納爆音訴訟で、入廷を前に、支援者らにあいさつする新川秀清団長(中央)ら原告団=19日午前、沖縄市知花(小川昌宏撮影)

 【中部】「爆音響く」。そう書かれたプラカードが次々と掲げられた。過去最大の3万5000人超の原告による「静かな空」を取り戻すための闘いが19日、始まった。裁判所前の道を埋め尽くすほど集まった第4次嘉手納爆音訴訟の原告らは、強い決意を感じさせる表情で裁判所へ歩を進めた。

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 第4次嘉手納爆音訴訟の第1回口頭弁論(足立堅太裁判長)は、那覇地裁沖縄支部で午前10時から始まった。傍聴席は駆けつけた原告団で満席に。弁護団代表の訴状要旨陳述に続いて、3人の原告が意見陳述すると、傍聴席の原告らは思いを託すかのように聞き入った。

 陳述者の1人、嘉手納町の福地光さんが、沖縄の基地で軍備強化が図られ「世論が基地ありきの意見が大きくなっていることに恐怖を感じる」と発言すると、同意するようにうなずく原告もいた。

 弁論終了後も法廷の外では多くの人の姿があった。うるま市から訪れた男性は「また長い闘いが始まるんだね。でも誰もが求める当たり前の生活がここにはないのだから、頑張るしかない」と前を見据えた。

 口頭弁論中も米軍機が原告団居住地の上空を飛び交った。嘉手納町の屋良局では午前10時23分に94.7デシベル、北谷町の砂辺局では41分に106.8デシベルの騒音が確認された。

 原告らは今訴訟でも夜間の騒音制限を求めている。一方で、18日の午後10時から翌日午前7時にかけて、砂辺局では6回、屋良局とロータリープラザ局でそれぞれ2回の騒音が記録された。
(新垣若菜、名嘉一心)

原告代表陳述

 新川秀清原告団長(86)=沖縄市 嘉手納基地は米軍による土地の強奪によって極東最大の基地となり、殺人的爆音をはじめ、非道なる被害の根源となっている。今回は予想を超える原告数となった。日米政府に対する怒りと言っても過言ではない。いかなる困難があろうとも「人間として当たり前に生活できる沖縄」であるために、闘いを推し進めていく決意だ。

 福地光さん(35)=嘉手納町 爆音被害を一番感じるのは、休日の朝から鳴り響くエンジン音で静かな生活が妨害されることだ。昼前まで鳴り響くこともあり、外出時には、音に敏感な息子が耳をふさぎ不快感を示していた。子どもの精神的安定や成長に悪影響を及ぼすと実感した。聴力低下の危険性もあり、騒音による集中力の欠如は勉学の成績にも影響する。

 伊波和美さん(54)=うるま市 頭痛を感じたり、眠りが浅く夜中に起きたりする。健康診断で血圧が190以上あると知り、ストレスが原因だと説明された。爆音で目が覚め、三線の練習に集中できないなど少しずつストレスになっていた。昼夜を問わず飛行機は頭上を飛び続け、大きな音を響かせている。爆音が与える健康への影響を忘れないでほしい。