「おとゆい クラシック・コンサート2023 音楽の訛(なま)り、音楽の結(ゆい)」(ビューローダンケ主催)が8日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開かれた。ウィーンで活躍する5人の音楽家を招いて、沖縄のクラシック・琉球芸能実演家ら総勢約80人が競演した。多彩なプログラムで舞台を鮮やかに彩り、訪れた観客の五感を楽しませた。指揮は平塚太一、コンサートマスターは榎本麻衣子(ウィーン交響楽団)が務めた。
同公演は、今年活動10周年を迎えるビューローダンケの、沖縄らしいクラシックの語り口を探求する「おとゆいプロジェクト」の一環として開催。代表でフルート奏者の渡久地圭、同公演の芸術監督などを務める三ッ石潤司らが企画を担い、「しまくとぅばを語るようにクラシックを奏でる」「訛(なま)り」をキーワードに沖縄とウィーンをテーマにした作品などをコラボレーションした。
幕開けは中村透の「琉球古典芸能とオーケストラのための3部作」から第3章より「かぎやで風」。オーケストラの演奏に歌三線のハーモニーが奥行きを持たせ、舞踊が華やかさを添える。沖縄の風土も感じさせる、新年にふさわしい演目で飾った。
モーツァルトの「ピアノ協奏曲第9番『ジュノム』変ホ長調作品271」では、ピアノソリストを三ッ石が担い、約40人のオーケストラの優美な演奏とともに巧みな演奏で引き込んだ。
最後の演目は、ウィーンのオペレッタ(喜歌劇)の中でも最高峰の作品として親しまれる、シュトラウスのオペレッタ「こうもり」第1、2幕より抜粋を演奏会形式で披露。耳当たりの良いウインナワルツの音楽が繰り広げられ、金持ちの銀行家アイゼンシュタイン(喜納響)とその妻(知念利津子)ら個性的な登場人物が物語をもり立てていく。本公演のために三ッ石が日本語訳に書き下ろした歌詞で、より親しみやすく展開された。案内役フロッシュに扮(ふん)した嘉数道彦がうちなーぐちで笑いを交えつつ舞台を盛り上げ、盛大な拍手が送られた。
(田中芳)