【動画あり】那覇市で初のミサイル避難訓練 106人が参加 地下駐車場で頭覆う 沖縄


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地下駐車場へ避難し、防災頭巾をかぶりしゃがみ込む子どもたちや参加住民=21日午前、那覇市銘苅のなは市民協働プラザ(又吉康秀撮影)

 沖縄県・那覇市は21日午前、県と国と共催で弾道ミサイルの飛来を想定した住民避難訓練を那覇市銘苅のなは市民協働プラザで初めて実施した。銘苅地域の住民を中心に106人が参加した。仮想の「X国」から弾道ミサイルが飛来する恐れがあるとの模擬の全国瞬時警報システム(Jアラート)とサイレンが流れ、住民らが消防団員らの誘導で同施設の地下駐車場に避難した。一方、施設の周囲には訓練に反対する市民が集まり、「ミサイル訓練反対」「戦争訓練は止めろ」などと抗議の声を上げた。

 国民保護に基づく弾道ミサイル避難訓練は県内では昨年11月に与那国で実施され、那覇市は今年度2例目となる。

 避難場所の地下駐車場で参加者らはミサイルが「通過」するまでの数分間、壁沿いにしゃがみながら頭を手で覆った。参加した男性(36)は「ウクライナではこんなことをやっているんだと実感できた」と語った。

 市は広報誌への掲載や周辺地域へのチラシ配布などで住民避難訓練を周知し、参加希望者を募った。参加者の内訳は銘苅こども園の園児・保護者ら50人、ほかの一般参加者33人、消防団員ら23人。市によると、保護者会に情報を伝え、保護者会から参加を希望したという。

 21日午後には那覇市役所で弾道ミサイル飛来を想定した市職員の初動対処訓練が初めて実施された。

 知念覚市長は避難訓練終了後、「おおむねスムーズな避難行動ができた。大前提として、今回の想定の事態が決して起こることがない世にすることがわれわれの責任だ。それをしっかりやりながら、訓練も両輪で進めていかないといけない」と述べた。

 政府は2018年6月以降、弾道ミサイルを想定した避難訓練を見合わせていたが、北朝鮮の弾道ミサイル発射が頻発したことを受け再開した。全国の自治体に参加を募り、県内から那覇市、与那国町、宮古島市が応募したが、宮古島市は取り下げた。 (伊佐尚記、梅田正覚)