闘牛観戦記 岩切美穂(北部報道グループ)<ゆんたくあっちゃ~>


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written by 岩切美穂(北部報道グループ)

 元日の新春北部大闘牛大会を取材することになり、初めて闘牛の対戦を見た。関係者には申し訳ないが、闘牛の知識はゼロ。闘牛好きな新垣若菜記者に教えを請い、即席の知識をネットで仕入れ「分からねば聞くのみだ」と、半ば開き直って会場入りした。

 老若男女でにぎわう今帰仁村営闘牛場。ひいきの牛を呼ぶ子どもの声援が響く。全9試合は10分を超える長期戦で始まった。角がぶつかり巨体が揺れる。額に血がにじむ。「うわ、痛そう」と及び腰で見始めたが、次第に引き込まれた。長期戦が苦手な牛が意外と粘ったり、疲れて劣勢に見えた牛が奮起して反撃に転じたりと、勝負事に挑む人間の姿にも重なる。

 入場から目をぎらつかせ鼻息を吹き鳴らし威嚇する牛、戦意を失い逃げる牛もいて「そりゃ、あんな怖そうな相手と闘いたくないよね」と勝手に共感。勝敗が決まるたびに古里・奄美の「ワイド節」が流れたのもうれしかった。初心者なりに楽しみ、新垣記者の助けで何とか記事を仕上げた。

 初の闘牛観戦を奄美大島の父に電話報告すると「子どもの頃は名瀬でも闘牛やってたよ。宇検村に強い牛がいてね。結構血が騒いだ」と懐かしげ。奄美で闘牛と言えば徳之島だが、戦後の奄美大島にも闘牛文化があったとは知らなかった。次は父に沖縄闘牛を見せてみようか。

(国頭村、大宜味村、東村、伊江村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。