多文化共生へ 多様な団体をつなぐ 地域サポートわかさに地球市民賞


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国際交流基金の佐藤百合理事(左端)から授賞の伝達状を受け取る地域サポートわかさの上原廣保理事長(左から2人目)と宮城潤事務局長(同3人目)=18日、那覇市の若狭公民館

 【那覇】国際文化交流を通して日本と海外の市民の結び付きを深めている団体に贈られる2022年度国際交流基金地球市民賞に、那覇市若狭公民館の指定管理者「地域サポートわかさ」(上原廣保理事長)が選ばれた。18日に同公民館で記者会見が開かれた。県内からの受賞は4例目。アーティストらと協働するユニークな活動で住民自治を後押ししていることや、地縁組織に属さないひとり親世帯や外国人の支援・交流に取り組んでいることが評価された。

 地域サポートわかさは、若狭公民館の民営化検討を機に、管理運営を担うことを視野に入れて住民や自治会、学校関係者らが2005年に設立した。10年に公民館の一部業務を受託し、15年に指定管理者となった。

 公民館のない地域に出向く移動式公民館「パーラー公民館」など、ユニークな取り組みは全国的なモデルケースとなっている。コロナ禍で、ひとり親世帯や在沖ネパール人の当事者団体・NPOなどと連携し、食料支援や易しい日本語の新型コロナ対策講座などに取り組んだ。

 宮城潤事務局長(若狭公民館館長)は「私たちは主導するのではなく、協働するパートナーの『やりたい』という思いを後押しし、自治を育むことにつながっている。今回も協働パートナーの力で受賞できた。クリエーティブな活動で多様なコミュニティーをつなぎ、全ての人を包摂する地域社会をつくっていきたい」と話した。

 授賞を伝達した国際交流基金の佐藤百合理事は「中間支援団体として多様なコミュニティーをつなぎ、多文化共生に取り組む活動に大きな将来性を感じる。全国の方に知ってほしい」と述べた。

 22年度の地球市民賞は98件の応募があり、地域サポートわかさを含め全国で3団体が選ばれた。授賞式は2月22日に都内で開かれる。
 (伊佐尚記)