激動の時代のコザが舞台、台湾移民の姿描く 日台共同製作ドラマ、沖縄市で撮影


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
沖縄で生きる台湾移民コミュニティーを描いたドラマの撮影現場。沖縄市中央パークアベニューの店舗屋上で撮影が行われた=25日、沖縄市中央

 【沖縄】日台共同製作ドラマ「熱き風、南より吹く」の撮影が始まっている。ドラマは日本復帰前の1970年代の沖縄が舞台で、コザで暮らす台湾移民コミュニティーの姿を描く。台湾と沖縄を拠点とするムーリンプロダクションが企画製作し、PROJECT9(沖縄市)が映像制作を手掛ける。現在はパイロット版を撮影中で、2024年にも本編を公開したい考え。グローバル配信を視野に入れている。

 台湾出身の黄インイク監督がプロデューサーを務め、ムーリンプロダクションの菅谷聡さんが原案・脚本を担当した。監督は映画「ミラクルシティコザ」の平一紘監督。

 コザ生まれの台湾系2世の翁美子と、県内離島出身で密貿易や犯罪に手を染める比川キヌエの2人が主人公。激動の時代のコザでそれぞれのアイデンティティーに揺らぎを感じながら、友情を超えた関係を築いていくストーリーだ。

 台湾出身の黄監督はこれまでも、八重山諸島に移り住んだ台湾人移民をテーマにしたドキュメンタリーなどを手掛けてきた。黄監督は「コザは国際的な都市でいろいろな人種がいた。台湾コミュニティーの人々が激動の時代のコザを、どのような視点で見ていたのか知ることができる内容だ」と語る。

 平監督は「コザを舞台にした作品は、これまでは沖縄と日本、アメリカの3要素だった。70年代を生きた、さまざまなルーツを持つ人々のドラマを描けると思う」と話した。
(石井恵理菜)