不正閲覧、電力6社で判明 新電力の顧客情報 沖電はまだ明かさず 経産省点検


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 経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は27日、大手電力が競合関係にある新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題で、不正閲覧が新たに中部、中国両電力で判明したと発表した。これまでに分かっている関西電力など4社と合わせて計6社に拡大した。監視委は大手10社に求めた緊急点検の結果報告を締め切った。報告内容を踏まえて処分を検討する。

 不正が判明したのは他に東北、四国、九州の各電力。小売り部門の社員が、送配電子会社のシステムなどを通じて新電力の顧客情報を見ていた。関電は得られた情報を新規顧客獲得の営業活動に悪用していたことが明らかになり、監視委が立ち入り検査に踏み切った。西村康稔経産相は27日「公正な競争を揺るがしかねず、極めて遺憾」と述べた。

 中部電は昨年12月10日までの1週間で、小売り会社の社員ら893人が3600件の契約内容を不正に閲覧していた。中部、中国両電力は問い合わせ対応などのために活用したとし、営業活動を目的としたものではないと釈明している。

 北海道、東京、北陸の各電力は不正がなかったとする調査結果を提出した。沖縄電力も提出は済ませたが、不正の有無は明らかにしていない。監視委はこれらの報告についても実際に不正な事例がなかったか調べる。

 電力小売り全面自由化後、大手電力は送配電部門を分社化し、新規参入の新電力が送配電網を大手電力の小売り部門と公平な条件で使えるようにした。公正な競争を確保する観点から、送配電子会社が持つ新電力の顧客情報を、親会社の大手電力と共有することを電気事業法で禁じている。
(共同通信)