沖縄公庫、10年間で1.4兆円を融資・出資 「地域経済と雇用維持に貢献」 第5次振計実績報告


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は30日、2022年度政策金融評価報告書を公表した。「第5次沖縄振興計画に果たしてきた役割」をテーマに沖縄振興施策にひも付けた融資の実績などを取り上げ、5次振計期間の12年度から21年度の10年間の出資・融資実績が7万4675件、1兆4106億円だったと報告した。

 新型コロナウイルス感染症に関する融資実績は20年1月末~22年3月末で1万6700件、3449億円に上った。融資決定件数は県内中小企業数の約3割に相当する。貸付金額別では500万円以下が約4割と最も多く、1千万円以下の小口融資が約6割を占めた。

 沖縄公庫は「商工会などとの連携で県内くまなく支援を実施し、地域経済と雇用の維持に貢献した」と評価した。

 12年度から21年度の中小企業への出資・融資は2799億円。期間中の県内中小企業の純資産額は約2.4倍に増加し、全国(2.2倍)を上回る伸び率となった。

 観光産業については、期間中の宿泊業への出資・融資が1071億円となり、県内ホテルの約6割に融資した。

 融資先へのアンケートでは、沖縄公庫から融資を受けたことで民間金融機関からも融資が受けやすくなる「呼び水効果」について約半数で効果があったと答えた。

 売上高への貢献度は前年度比12.8ポイント減の43.3%が売上高の増加、維持に貢献と回答した。雇用の貢献度は同4.7ポイント減の49.1%の事業者が従業員数の増加、維持に貢献したと答えた。沖縄公庫は「コロナ関連融資が大半を占め、コロナ前のような融資効果は得られなかった」とした。
 (玉城江梨子)