伊是名の古民家、移住募集に希望相次ぐ ネット閲覧週100万件


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
赤瓦屋根や内装などを修復中の古民家(旧山川商店)=2日、伊是名村伊是名

 【伊是名】伊是名村が村内で空き家となっている古民家の内装や屋根などを修復・復元し、移住者の住宅として活用する事業で入居希望者が相次ぎ、人気となっている。整備を終えた古民家2棟の入居者を9月下旬以降にインターネットで募集したところ、アクセス数が1週間で100万件を突破し、2棟とも村外から入居する家族が決まった。村は2021年度まで年1棟のペースで古民家を修復する計画で、伊是名村らしい風景を残しながら定住促進策や観光への活用などに本腰を入れる。

 同村は13年度から21年度までの9年計画で「伊是名らしい古民家修復・復元事業」を進めている。予算は国の沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用し計約3億5千万円。
 村が完成させた2棟に入居する移住者をインターネットで公募したところ、フェイスブックなどでシェア(共有)が広がり、10月末までに120万件に達した。
 閲覧者からは「住みたい」「木のぬくもりが伝わる」などのコメントが寄せられた。入居期間は5~10年、入居者は満40歳以下で、15歳以下の子どもがいるなどの条件がある。これらの条件を満たせず断念する人も多く「要件には適合しないけど住んでみたい」などのコメントも寄せられた。
 村に直接、入居の問い合わせがあったのは約25件。村は地元住民らを含めて入居者を選考した。古民家2棟のうち勢理客区にある1905年築の「名城家住宅」は、岡山県から夫婦と子ども3人の5人家族が入居することが決定。さらに伊是名区で復元した古民家には、県外から女性と子ども5人の家族が入居することが決まった。
 家賃は敷金なしで月3万円。光熱費などは自己負担となっている。
 村によると伊是名区に住む予定の女性は「都会で小さな子ども5人がはしゃぐと隣近所に迷惑掛けないか心配。伸び伸びした環境で育てたい」などと移住の理由を話していたという。
 前田政義村長は「昔の風情を取り戻し、古民家に村民として人が住み、観光にも役立てていく三つの目的がある。高齢化が進む中、なるべく若い人に島に来てもらいたい。(雇用創出に向けて)6次産業化を進めたい」と強調した。
(古堅一樹)