オスプレイ飛行制限 クラッチ不具合 広がる懸念 対象機不明「根本原因は調査中」


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普天間飛行場に駐機する米軍のMV22オスプレイ=6日午前、宜野湾市

 米軍が保有する垂直離着陸輸送機V22オスプレイについて、クラッチ関連の不具合対策のため、一定の飛行時間に達した機体を対象に部品交換を行うまでの間、飛行を制限すると発表し、県内で安全性について改めて懸念が強まっている。米軍は「運用体制に関わる」として対象となる機体の所属部隊や機数などは明かさず、米軍普天間飛行場に所属する海兵隊仕様のMV22が対象かも不明なまま。玉城デニー知事は6日、情報の少なさに「県民の不安は一向に払しょくされない」と米軍の姿勢を疑問視した。

 普天間所属機が飛行制限の対象かは不明だが、防衛省によると6日は午後5時までに目視調査で飛行は確認されていない。普天間所属機も制限対象の可能性がある。

 問題となっているのはエンジンの動力をローターに伝えるクラッチ関連の部品。クラッチが突然再結合した際に衝撃が発生し、損傷を与える可能性があるという。

 米軍は沖縄防衛局を通じて県に対して、今回の措置はクラッチの異常を防ぐための「予防的な措置」だと強調。「機体自体の安全性に問題はない」「飛行の安全に関わる構造上の欠陥はない」と重ねて説明し、理解を求めた。

 ただ、オスプレイを巡っては昨年8月にも空軍仕様のCV22でクラッチ関連の異常が続いて飛行停止を指示した。一方、海兵隊は飛行を取りやめなかった経緯がある。

 当時、海兵隊は琉球新報の取材に「(空軍と海兵隊は)任務環境と機体構成が異なっている」と理由を説明した。同様の不具合がMV22にもあることを2010年時点で認識していたことも明かしつつ、パイロットの訓練などの対策をとっているとしていた。

 昨年の対応から一転、海兵隊仕様機も対象に飛行が制限された。米軍は日本側に「根本的な原因は引き続き調査中」だと説明しているといい、今回の部品交換が問題の解決につながらない可能性もはらむ。

 県は同日、防衛局に対して普天間所属機が制限対象となっているか問い合わせたが、返答はない。「今まで放置していたのか」。県関係者は米軍の対応に疑いの目を向けた。
(知念征尚、明真南斗)