宜野湾市で初、消防士に女性「次に続く人の道を切り開きたい」職場体験で見た訓練に魅せられた19歳の決意


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「これからいろいろなことを学んでいきたい」と語る宜野湾市初の女性消防士の高良明日香さん=宜野湾市消防本部

 【宜野湾】宜野湾市に初の女性消防士が誕生した。同市出身の高良明日香さん(19)は、昨年8月から市消防本部に採用され、現在は日勤業務をこなしている。4月からは県消防学校に入校し、現場で必要な知識や技術を本格的に学ぶ。「早く行きたいという気持ちが膨らんでいて、今からわくわくしている」と笑顔を見せる。

 きっかけは高校1年生の時の職場体験だった。それまでは体育教師を目指していたが、体験先の消防署で訓練の様子を見聞きし「その仕事に魅せられてしまった」。

 そこから、進路は消防士に向け一直線となった。

 頑張るなら地元で―。そう考えて調べたところ、地元の宜野湾市では女性消防士が1人もいなかった。女性がいる他市町村がいいのかとの思いもよぎったが、「私みたいに考える人が次も出てくるのなら、その不安を取り除くためにも(道を)切り開いていこう」と、強く決意した。

 市消防によると、2022年4月1日時点での県内の女性消防職員は31人。宜野湾市では、2019年は採用申込者31人のうち、女性の申込者は0、20年は59人のうち1人、21年は57人中7人で、年によって多少の変動はあるが、申込数は男性に比べ圧倒的に少ない。

 高良さん自身も周囲から「女性って消防士になれるの?」と聞かれることもあった。体のことなどを心配した祖母から強い反対を受けたことも。「でも、採用が決まった時は『あなたの努力が実ったことがうれしい』と誰よりも喜んでくれた」と振り返る。

 「消防は男性の仕事というイメージが大きいが、女性ならではの対応が必要とされる現場もある。多くの方に女性でも働ける仕事だと知ってもらえる一助となりたい」と語る。

 現在は、日勤作業中に流れてくる無線を聞きながら、自身が現場に出た際に冷静な対応ができるようにと、用語などを頭にたたきこんでいるという。目指すは出動先で「あなたに来てもらえて良かった」と言われる消防士。そうなれるためにも「とにかくたくさん学んで、いろんなことを吸収したいです」と意気込む。
 (新垣若菜)