那覇港、どう変わる? 増加する貨物に対応 埋め立てで環境への影響は?港湾計画改定案


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浦添ふ頭(資料写真)

 7日に開かれた那覇港地方港湾審議会は、同港港湾計画の改定案を賛成多数で「妥当」と答申した。改定案には不足する岸壁や作業スペースの拡大が盛り込まれ、那覇港管理組合は民間の設備投資によるさらなる物流の成長に期待を示す。一方、一部の審議会委員からは米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設も踏まえた浦添ふ頭の環境影響予測・評価について「検証が不十分」との意見もあり、懸念も残る。

 那覇港の貨物取扱量は観光客の増加や生活水準の向上を背景に、2017年から3年間で約450万トン増加し、20年には約1661万トンとなった。このうち国内貿易の貨物量は1524万トンで、03年に改訂された、現行の那覇港湾計画の目標値(932万トン)の約1・6倍に達している。那覇港港湾組合は今後も取り扱い貨物量が増加すると想定し、改定案では35年の将来取り扱い貨物量を2280万トン(うち国内貿易2004万トン)に設定した。

 日本復帰前後に整備された那覇港は老朽化が進み、貨物量増加や船舶の大型化への対応が課題となっている。港湾計画改定案ではRORO船が安全に利用できる環境を整え、物流の発展を下支えする狙いがある。また35年には那覇港のクルーズ寄港回数は678回と予想され、三つ目のクルーズ岸壁整備で対応していく考えだ。

 一方、審議会で那覇港管理組合は、現行計画による環境影響と改定案による環境影響を比較し、「計画変更に伴う影響は軽微と考えられる」と説明した。だが委員の比嘉瑞己県議は那覇軍港の浦添移設と合わせ、潮流などの環境や景観への影響評価を疑問視。「なぜ影響が軽微であると判断できるのか」と反対した。組合側は「(より具体的に)どう影響するかは実施段階で環境アセスメントで評価していく」とした。
 (武井悠、伊佐尚記)